ベルリンにはたくさんの美術館や博物館がありますが、機械や科学技術が好きな方にオススメしたいのが、今回ご紹介する「ドイツ技術博物館(Deutsches Technikmuseum Berlin)」です。さまざまな旅行案内でも紹介されている定番スポットではありますが、今回あらためて、収蔵されているクルマとその展示に焦点を当ててご紹介したいと思います。
ドイツ技術博物館とは?
往年の名輸送機「ダグラスC-47スカイトレイン」が出迎えてくれるメインエントランス。ドイツ技術博物館は1982年、当時ベルリンが分断されていた時代の西ドイツ側に設立されました。敷地面積は広大で、とくに鉄道と船舶の展示は圧巻の一言。他にも航空、通信、映像、紡績、宝飾、酒造など、多種多様な技術に関する展示が展開されていて、じっくり見ていると1日では足りないほどの充実ぶりです。
今回お目当てのクルマに関する展示は、飛行機が吊るされた建物の裏手にある、写真の施設の中にあります。入場料は1日券が大人8ユーロ。どちらの建物も1枚でまわることができます。さっそく中に入ってみましょう!
ドイツ技術博物館の敷地は、かつて存在した貨物駅「ベルリン・アンハルター駅」の一部を使用しています。建物の外観はレンガ作りでレトロな雰囲気ですが、中はご覧の通り。明るくて近代的な雰囲気です。手前から奥に向かって、クルマの歴史を追っていくことができるようになっています。
クルマ黎明期の傑作車も!
とにかく馬を愛するドイツ人。シュツットガルトのメルセデス・ベンツ博物館でも、展示の一番に登場するのは馬ですが、ここでも馬車が最初に紹介されています。1900年にはベルリン全体で8,114頭の馬が「タクシー」として働いていたとのこと。「出力:1馬力 速度:6km/h(並足)12km/h(速足) 燃料:野菜、ジャガイモ、干し草など」とまじめに書かれたキャプションにユーモアを感じます。
1899年製ド・ディオン・ブートン モデルE。402ccの単気筒エンジンから3.5馬力を発生、最高速度は40km/hでした。フランスのド・ディオン・ブートンは1900年当時、400台の自動車と3,200台のエンジンを生産する世界最大の自動車メーカーでした。現在でも「ド・ディオン・アクスル(ド・ディオン式サスペンション)」などに名前が残っていますね。