ざっくり、こんな北海道レストランバス
- より楽しく、よりおいしく、よりリーズナブルに
- 車内ではイタリアンのフルコースが提供
- あの有名タレントも乗車!?
移動しながら食事が楽しめる、『そこにしかない日本を食べよう!』がコンセプトのウィラー「レストランバス」。
北海道では2017年に網走エリアと札幌エリアで運行されましたが、そのレストランバスが今年、パワーアップして北海道に戻ってきました。昨年との違いを含め、「食」と「観光」が同時に楽しめるレストランバスの魅力をお伝えします。
昨年よりもパワーアップした2018年の北海道レストランバス
ウィラーのレストランバスは、2016年から新潟、沖縄、熊本(阿蘇)などの観光地で期間限定の運行をしてきました。
北海道では、2017年の7月から9月にかけて網走エリアと札幌エリアで運行されましたが、今年は函館エリアも追加され、運行期間も4月28日~9月29日に拡大。観光コースや提供料理、催行料金も見直され、よりパワーアップした内容になっています。すでに函館エリアと網走エリアでの運行は終了しており、現在は札幌エリアにて2018年9月29日まで運行されています。
昨年の北海道レストランバスとの違いは、「運行コース」「料理」「車両」の3つです。
運行コースは、昨年よりもコース数が充実しました。立ち寄り場所を増やしたものやコース自体を大幅に見直したものがあるほか、収穫体験付きのランチツアーや、スイーツが楽しめるコース、夜景を楽しみながらディナーが楽しめるコースなども用意。1日限定のスペシャルコースも設定されています。また、旅行代金も全般的に据え置きまたは値下げされ、昨年より利用しやすい料金設定になりました。
提供される料理も、昨年の創作和食から、フレンチおよびイタリアン(札幌エリア)と懐石料理(網走エリア)に変更。いずれの料理も、道産食材をふんだんに使用しているそうです。
使用される車両も変更されました。昨年は「和」をイメージした2号車が充てられていましたが、今年は「洋」をイメージした1号車が充てられています。
なお、「北海道レストランバス」の企画実施および運行は、網走市に本社を置く網走バスが担当。ウィラーは車両の貸し出しを担当しています。
レストランバスの車内は? 提供される料理は?
他の地区で活躍しているレストランバスと同様に、2階席の天井は開閉式ルーフ構造になっています。ルーフを開けたときの開放感は素晴らしく、晴れていて風が弱い日は、心地よく感じること間違いありません。
2階には25人が着席できる客席とテーブルが設置されています。
基本は4人1テーブルですが、1人やカップルでの利用もできるように、2人1テーブルの区画もあります。
テーブルには、走行中の揺れでワイングラスやコップなどが倒れない工夫も。コップや缶類は穴に収め、ワイングラスはカーブが描かれた溝に持ち手部分を固定できるようになっています。
各テーブルの窓側には、携帯電話・スマートフォン充電用のコンセントも完備。数多くの高速乗合バスを運行しているウィラーならではともいえましょうが、スマートフォンが普及している昨今、利用者にとってはありがたい設備です。
1階部分は厨房(キッチン)になっています。調理機器は全て電気式になっており、電力供給のための発電機も車内に搭載されています。この厨房(キッチン)が車内にあることで、あたたかい料理が移動中に楽しめるのです。
今回私が参加した「さっぽろ周遊ランチツアー」で提供される料理は、Bar Brio 根田シェフ監修のイタリアンフルコース。
アンティパスト(前菜)に続いて、プリモ・ピアット(前菜と主菜の間に出る料理)、セコンド・ピアット(主菜)、ドルチェ(デザート)の順に、タイミングを見計らって各テーブルに運ばれてきます。
さっぽろ周遊ランチツアー コースメニュー
【アンティパスト】
・ 毛蟹とアボカド、カラスミのタルタル
・ 生ハムとマンゴー、リコッタチーズ
・ 新茶でマリネした本マグロのたたき フルーツトマトと雲丹のソース
・ 庵夢豚の煮込み カポナータと青柚子山椒
【プリモ・ピアット】
・ 焼きとうもろこしとサマートリュフ、パルミジャーノのリゾット
【セコンド・ピアット】
・ ワインラムロースト 万願寺とうがらしのソテー、焼きなすと生姜のピュレ
【ドルチェ】
・ 夏のマチェドニア 青肉メロンのソルベとヨーグルトのソース
あの有名タレントも乗車!?
札幌エリアでは、ランチコースからディナーコース、1日限定のスペシャルコースなど、様々なコースが設定されていますが、今回はイタリアンのランチフルコースと札幌市内観光が楽しめる「さっぽろ周遊ランチツアー」に参加してみました。
バスは、JR札幌駅北口の貸切バス駐車場から出発します。駐車場へ行ってみると、出発準備が整ったレストランバスが既に停車していました。
乗客全員が揃ったところで、女性ガイドがあいさつを行い、その後、天井のルーフが開放されます。
普段見慣れたオフィスビルが、まるで別世界のように見えます。
天井のルーフが開放されたところで、1皿目の料理が提供され、バスは発車します。
料理とともに欠かせないのがドリンク類です。ビール、ワイン、ソフトドリンクなど、様々なものが用意されています。
ドリンクの注文には、スマートフォン型の専用タブレットを使用します。
ドリンクの注文に必要なコインの購入やドリンクの注文が行えるほか、ガイドの呼び出し機能、多言語対応の観光ガイド機能を備えています。インバウンド対策のひとつとして今年から導入されたものですが、使い方にコツが必要な点や、バッテリーの消耗が早いなど、課題があるようにも思えました。
この日は、私のほか、本州からの観光客が数名参加。さらに、札幌エリアでの運行第2シーズンの初日ということもあってか、網走バスの社員も数名同乗していました。
そして、このバスには、なんと、テレビなどでおなじみの有名女性フードファイター、アンジェラ佐藤さんも乗車。
聞くところによると、動画撮影の仕事を兼ねての乗車だったそうですが、実はこの後、アンジェラさんとジャンケンをして、勝った方はドリンク1杯サービスというサプライズがありました。
当然のことながら(?)ジャンケンに勝利。1杯目のビール(網走ビール「ホワイトエール」)をいただきました。(アンジェラさん、ごちそうさまでした。)
バスは、天井のルーフを開放した状態で、札幌中心部を走行します。
ところが、出発早々に雨が降り始めたため、やむなく天井のルーフは閉められることに。そうこうしているうちに、バスはさっぽろテレビ塔の近くに停車します。
ここで2皿目の料理が運ばれてきます。
1杯目のビールを飲みきったところで、2杯目のビールを注文します。2杯目は、北海道限定の「サッポロクラッシック」にしました。
2皿目の料理の提供が終わったところで、バスは創成川通りから国道36号を経由し、最初の立ち寄り場所であるさっぽろ羊ヶ丘展望台へと向かいます。
ガイドの流暢な観光案内を聴きながら車窓と食事を楽しみ、そしてお酒を口へ運ぶ…これこそレストランバスならではの醍醐味であり、贅沢なバス旅の楽しみ方なのではないかと思いました。
アイポイントが高い2階席から眺めるというのもあるのでしょうが、普段見慣れた札幌の街並みも、この日ばかりは違った景色に見えました。
やがて、前方には札幌ドームが見えてきます。「北海道日本ハムファイターズ」や「北海道コンサドーレ札幌」のホームグラウンドとしても有名です。
札幌ドーム前の交差点を右折し、羊ケ丘通りを越えて少し進むと、北海道屈指の観光名所でもあるさっぽろ羊ヶ丘展望台に到着します。
到着後、3皿目の料理が提供され、美味しくいただいたあとは、約1時間の観光タイムとなりました。
道内屈指の観光地「さっぽろ羊ヶ丘展望台」
さっぽろ羊ヶ丘展望台は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センターの敷地内にあります。
北海道の開拓者精神の象徴でもあるクラーク博士の全身像と、南東方向からの札幌市街の展望の良さは、全国的にもよく知られています。
敷地内には雪まつり資料館があるほか、軽食類や土産物の購入が楽しめるオーストラリア館もあります。
ふと目に入ったラベンダーソフトを購入してみました。ラベンダーの香りが控えめに抑えられており、ソフトクリーム自身の美味しさが際立っていました。
レストランバスも、しばしの休息です。
観光タイムも終わり、乗客全員が戻ってきたところで、4皿目の料理が運ばれてきます。
4皿目の料理の提供が終わったところで、バスは札幌羊ヶ丘展望台を発車。福住桑園通~環状通~北1条宮の沢通を経由して、次の立ち寄り場所である白い恋人パークへと向かいます。
メインの4品目の料理を完食した頃、バスは北海道神宮前に停車します。
初詣時には多くの参拝客で賑わい、札幌の花見の名所としても知られている北海道神宮。残念ながら、レストランバスでは下車観光ができませんが、敷地内には道外にも知られている和菓子メーカー「六花亭」の休憩所があり、目の前で焼いてくれる焼き餅「判官さま」は、 北海道でもここでしか食べられません。
時間があれば、是非とも立ち寄ってみたいものです。
ふと、3杯目が飲みたくなり、網走ビール「流氷ドラフト」を注文します。オホーツク海をイメージした鮮やかなブルーが特徴の発泡酒で、すっきりとした飲み口が印象に残ります。
お菓子のテーマパークでしばしの休憩
やがてバスは、2カ所目の立ち寄り場所である白い恋人パークに到着します。こちらでは約45分間の休憩となりました。
白い恋人パークは、北海道みやげの定番「白い恋人」の工場見学(※)やお菓子作り体験、チョコレートの歴史やアンティークのカップの展示が楽しめるテーマパーク。
※白い恋人製造ラインはリニューアル工事のため、2019年5月末(予定)まで見学できません。
中庭のローズガーデンや、SL弁慶号をモデルにした「白い恋人鉄道」など、建物外部のエリアでも楽しめるようになっています。もちろん、「白い恋人」をはじめとする石屋製菓製品のショップも併設。みやげ物の購入はこちらを利用すると良いでしょう。
道路を挟んだ向かいには、サッカーJリーグチーム「北海道コンサドーレ札幌」の練習施設である宮の沢「白い恋人」サッカー場があります。
白い恋人パークといえば、こちらの「白い恋人ソフトクリーム」が欠かせません。
白い恋人のホワイトチョコレートを使用したソフトクリームで、北海道産生乳を合わせることで、あっさりとした味わいになっています。今でこそ札幌都心や東京銀座のショップ、新千歳空港などでも食べられるようになりましたが、かつては白い恋人パークまで行かなければ食べることができませんでした。
今回は初めてミックスをチョイス。ホワイトチョコとブラックチョコの絶妙なバランスが私好みでした。
あっという間のレストランバスの旅
休憩が終わり、乗客全員が戻ってきたところで、最後の一皿(デザート)が運ばれてきます。
直前にソフトクリームを食べたばかりでしたが、さっぱりとした味わいで、すぐに完食してしまいました。
白い恋人パークを発車したバスは、札幌新道から新川通を経由し、出発地のJR札幌駅北口へと向かいます。
左手に北海道大学とポプラ並木が見えてくると、旅の終わりはもうすぐです。
こうして約4時間の旅はあっという間に過ぎ、16時10分頃にバスはJR札幌駅北口に到着。乗客を降ろしたバスとスタッフの方々は、ひと息つく暇もなく、次の夜のコースへ向けて準備を始めるのでありました。
まとめ
私自身、北海道レストランバスは昨年2度利用しており、今回が3度目の利用でしたが、日常が非日常に感じられる車窓を楽しみながら、美味しい料理とお酒が楽しめるという、良い意味で面白いバスだと改めて感じました。
3,000円台で参加できる「Beer Night Restaurant Bus」「さっぽろスイーツコース」から、1日限定のスペシャルコースまで、運行コースが豊富なのも特長のひとつ。昨年よりも旅行代金がリーズナブルになったのも評価できる点だと思います。
「北海道レストランバス2018」の札幌エリアでの運行は、2018年9月29日(土)までとなっています。
高いアイポイントからの車窓と美味しい料理が楽しめるウィラーの「北海道レストランバス」で、普段では味わえない北海道の「非日常」を感じてみてはいかがでしょうか。
※2018年9月6日に発生した北海道胆振地震の影響で、数日間運休していましたが、 運行は9月12日に再開しました。一般発売のツアーも9月21日から行なわれる予定です。
(須田浩司)