※2019.8.6 編集部追記
2019年10月1日出発便より、「品川バスターミナル」「東京テレポート駅」の停留所は、「東京駅八重洲通り」「東北急行バス東京営業所(東雲車庫)」に、変更。
ざっくり、こんなバス
- 「東北」の名が付く老舗バス会社が運行
- 鉄道やリムジンバスからの乗り換えは横浜YCATが便利
- 隣の人が気にならない! 3列独立シート
- 充電用USBポート、通路カーテン、お茶のサービス付き
瀬戸内海に面する桃太郎のまち「岡山」。
岡山と東京を結ぶ高速バスは実に10路線以上も運行されており、全国有数の激戦区間でもあります。その中から今回は、品川・横浜と岡山の間を結ぶ夜行高速バス「ルブラン号」をご紹介。
25年以上も運行を続ける老舗の夜行バスに乗車してみた様子や感想をレポートします。
品川・泉岳寺から徒歩約10分! 出発は京急品川バスターミナルから
岡山行き「ルブラン号」が出発する「京急品川バスターミナル」は、品川駅及び泉岳寺駅から徒歩10分弱の場所にあります。
京急品川バスターミナルは、品川駅と泉岳寺駅のほぼ中間に位置します。
JRや京急から乗り換えるのであれば品川駅が、都営地下鉄浅草線から乗り換えるのであれば泉岳寺駅が便利。私はのりかえの関係で泉岳寺駅から徒歩で移動しました。到着すると、先行の米子行き「キャメル号」(日ノ丸自動車便)が乗車改札を行なっていました。
バスターミナルは2階建てとなっており、待合室も広々。自動販売機、コインロッカー、洗面所、シャワー室も完備されていて、ゆったりとバスを待つことができます。
定刻20:40の10分前にはバスがのりばに着けられ、乗車改札が始まります。
品川・横浜~岡山線「ルブラン号」は、東北急行バスと両備ホールディングス(両備バス)の共同運行路線。2社とも高速バスの運行では実績があり、知名度の高いバス会社です。今回私が乗車したのは、東北急行バスの車両。
なぜ「東北」の名が付くバス会社が岡山へ? と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、実はこの「ルブラン号」、元々は京浜急行バス(羽田京急バス)と両備ホールディングス(両備バス)が運行していました。
ところが、2015年9月をもって京浜急行バス(羽田京急バス)が運行から撤退。その後しばらくは両備ホールディングス(両備バス)が単独で運行していましたが、2017年12月に、格安夜行バス「ままかりライナー」の運行でパートナーを組んでいた東北急行バスが「ルブラン号」の運行に参入し、現在に至っています。
ちなみに、東北急行バスは現在、主力の東北方面(仙台・山形・新庄)以外にも鬼怒川温泉や金沢・大阪方面への高速バスも運行しています。東武グループにおける長距離高速バス事業者の位置付けです。
車内はゆったり3列独立シート、充電用USBポート・通路カーテン付きで快適
では、早速乗車してみましょう。
車内は、青系のシート地が目立つ3列独立シートが並びます。
トイレ付き3列独立シートの車両のなかには、進行方向に向かって左側の座席(A席)から、右側のトイレに行きにくいタイプのものがあります。しかし、「ルブラン号」は車内中央部のトイレ前にフリースペースがあり、どの座席からもトイレへの出入りがしやすくなっています。
窓側座席には通路を仕切るカーテンが。周りを気にする方にはうれしい装備です。
写真はありませんが、リライニングの角度は少し浅めとなっています。とはいえ、寝る分にはさほど気になりません。
もちろん、夜行バスの3列シートでは欠かせないレッグレストやフットレスト(足置き台)も完備されています。
携帯、スマートフォン充電用のUSBポートも装備されているほか、車内前方の冷蔵庫には、パック式のお茶がセルフサービスで提供されます。
尚、このバスにはWi-Fiサービスの提供がありませんでした。(共同運行の両備ホールディングス便にはWi-Fiサービスが提供されているそうです。)
鉄道やリムジンバスからの乗り換えには横浜YCATが便利
20:40定刻に京急品川バスターミナルを発車したバスは、芝浦ランプから首都高速羽田線~同横羽線~横浜ベイブリッジなどを経由してYCAT(横浜駅東口)へと向かいます。
YCAT(横浜駅東口)は横浜駅(JR、京急、相鉄、東急)や横浜駅東口バスターミナル、そごうなどと直結しており、成田空港や羽田空港へ向かうリムジンバスが発着しています。そのほか、横浜駅東口バスターミナルではアクアラインを経由して房総半島へ直通する高速バスも発着。鉄道やリムジンバスなどから乗り換えるのであれば、品川よりYCATを利用した方が便利です。
YCAT(横浜駅東口)で残りの乗客を乗せたバスは、21:45に発車。保土ヶ谷バイパスから東名高速道路 横浜町田インターへと向かいます。
発車後、交代乗務員からの案内放送のあとに、自動放送にて各種案内が行なわれます。自動放送の中で細かいところまで案内を行なっているのが印象に残りました。
22:00に車内は減光。やがてバスは横浜町田インターから東名高速道路に入り、この先は津山インターまで高速道路をひた走ります。
途中の休憩は1カ所のみ! トイレや飲食物の購入は消灯前に
このバスにはトイレが付いているため、途中の休憩は消灯前の1か所のみです。休憩場所は、YCAT(横浜駅東口)から1時間半弱走行した静岡県の新東名高速道路 駿河湾沼津サービスエリア。こちらでは23:05から15分停車しました。
出発時刻はドア付近に表示されますので、外に出る際は必ず確認しましょう。
サービスエリアにはトイレはもちろん、コンビニや飲食店があります。停車時間が短いため、飲食店で食事というわけにはいきませんが、こちらを発車すると、翌朝到着まで下車できませんので、トイレや買い物はこちらで済ませておきましょう。
駿河湾沼津サービスエリアを発車すると、バス車内は完全消灯されます。通路カーテンをセットしてシートを倒すと、いつしか夢の中へ。途中、乗務員交代時に何度か目を覚ましましたが、比較的ぐっすりと眠ることができました。
翌朝、目を覚ますと、バスは津山市内を走行していました。5:56、バスは最初の到着地である津山駅に到着。津山駅と次の津山パーキングで数名が下車し、その後バスは国道53号を岡山市内へと向かいます。
1時間程走行した後、岡山大学筋で降車扱いを行ない、終点の岡山駅西口には定刻よりも30分以上早い7:27に到着しました。
岡山駅周辺や駅構内には、コンビニ、飲食店が充実しているほか、サウナ(男性専用)、ネットカフェなどもあります。朝食や到着後のひと休みに困ることはないでしょう。
私は、岡山駅構内の飲食店で朝食を済ませた後、次なる目的地へと向かうのでありました。
ルブラン号の利用は「学割」と「回数券」がお得
東京~岡山間の高速バス料金は、シートや車内設備などにより異なります。「夜行バス比較なび」調べでは、片道運賃が2,610円~13,000円となっています。(※2018年4月時点)
そんな中、「ルブラン号」は、片道10,080円(往復17,080円)です。他社路線と比較すると決して安い方ではありませんが、学割や4枚綴り回数券を利用すれば片道7,200円と格安で利用できます。
もっとも、「ルブラン号」の片道普通運賃と新幹線を比較すると、新幹線「のぞみ」の東京~岡山間の片道は16,300円(普通運賃+新幹線特急料金)ですので、3列独立シートの夜行便はその約6割以下。学割や4枚綴り回数券を利用すれば半額以下で移動できることを考えると、「ルブラン号」は格安であるといえるでしょう。
とはいえ、「ルブラン号」は老舗路線ということもあってか、週末や繁忙期は混み合うことが多いとのこと。利用する際は早めのご予約をおすすめします。
まとめ
途中休憩が1回しかないと聞き、乗車前は正直不安でしたが、トイレが付いていることと、バス自体が比較的新しく乗り心地も良かったことから、その不安は払しょくできました。
停留所である品川バスターミナル、YCAT(横浜駅東口)は双方ともトイレや自販機が完備されていますので、トイレや買い物は乗車前に済ませておくのが良いのかもしれません。また、品川バスターミナルにはシャワールームもありますので、汗を流して着替えてから乗車するのも可能です。
このバスのセールスポイントは、ズバリ「安心感」だと感じました。老舗のバス会社による運行であることと、快適3列シート車で設備が充実していること、そして発着所がいずれも比較的わかりやすい場所に位置しているので、夜行バスに詳しくない方でも利用しやすいことが安心感につながります。
そして、学割や4枚綴り回数券の格安さ(片道7,200円)は注目すべきポイントだと思います。特に回数券は、WEB予約した後に窓口で購入することも可能なので、2人で往復する場合や4人で片道利用する場合は便利です。
・ゆったり3列シート車で寝ながら移動したい
・わかりやすい場所から目的地へ移動したい
・学割や回数券を使って安く移動したい
という方には最適なバスではないでしょうか。
※取材協力/東北急行バス
(須田浩司)