ついに登場! フルフラットシート「ソメイユ・プロフォン」
高知駅前観光では、高速バス・スマイルライナーにて、上下移動式のリクライニングシート装着の日野セレガ「ソメイユ・プロフォン」車両の運行を計画中。
こちらは通常のリクライニングシートではありません。なんとフルフラットになるシート!
「ソメイユ・プロフォン」は、フランス語で「熟睡」を意味するのだそう。「夜行バスでも横になってゆっくり熟睡したい」という高速バスユーザーの夢(!?)を叶えてくれるシートです。
上下移動式&組み立て式
さっそく、シートを見学しました。
シートは、なんだかちょっと変わってるかも? という見た目ですが、リクライニングなしの通常の状態を見ると、座席の後ろにも大きなスペースはありませんし、フルフラットになるようには見えません。
実際に座ってみましたが、座り心地は普通のスタンダードタイプのシートと変わりません。ちなみにシート幅は48cm高さは145cmです。
このシートが、まるで2段ベッドのような仕様になります。
シートは前後で1ユニットになっていて、組み立ては、大きくわけて次の4ステップ。
2:前席のシートをリフトアップする
3:後ろ席のシートを床面に下げ、上下のシートを倒す
4:各シートをロック
が、正直、実際に目の前で組み立てる様子を見ると、あちこちを畳んだり広げたりしてちょっと大変そうでした…。「これを、いつ、だれが?」と思ったのですが、夜行バス運行中には、最初のSA休憩時に、乗務員さんが組み立てておいてくれるそう。旅館で食事から戻ったら布団が敷かれていたみたいな体裁(笑)。しかし、それなら安心です。
ちなみに、シート上の空間は53cm。長さは、大人の男性でも問題ない185cmです。横になれればぐっすり眠って移動できますね。
現在はテスト段階で、シート回りに備品などはありませんが、実際にはカーテンを使用する予定で、プライベート空間もしっかり守られます。
気になる安全性は?
「ソメイユ・プロフォン」は、すでに車両保全基準も満たされており、安全面での心配はありません。
もしかすると「確か高速道路を走る車両ってフルフラットシートにできなかったのでは?」と思った方もいるかもしれません。
実際には、フルフラットシートが禁止というわけではなく、高速道路ではシートベルトが義務付けられていることなどを含め、安全基準を満たすのが難しく、これまで日本国内では一般的な高速バス車両において完全なるフルフラットシートはありませんでした。
「ソメイユ・プロフォン」には、シートベルトがあるのはもちろん、シートの頭部にはヘッドガードが装着されており、ベッドから落ちてしまうとか、足が前の人に突撃してしまう、などということはありません。
実際に、今回の展示のために高知駅前観光の方は、このバスで寝ながら移動してきたそうですよ。
また、これまでフルフラットシートがなかったのは、安全面だけでなく通常のシートでフルフラットシートにするとその分スペースが必要となり、座席数を減らさざるを得ず、そうなると1人あたりの乗車運賃も上がるわけで、費用面も課題になっていたのかも。
その点、「ソメイユ・プロフォン」は前後で1ユニットとなっており、そして、前席シートをリフトアップする2段ベッドのような仕様にすることで、費用面での課題もクリアしています。
通常の3列シートは、だいたい28席前後。バス車両の大きさや形状により異なりますが、例えば、後部は4列標準シートを搭載し、そのほかを「ソメイユ・プロフォン」のシートにするなら11ユニット(22席)搭載可能なのだそうです。全部で26席となり、通常の3列シート車とシート数はほとんど変わりません。
まだテスト段階のため、乗車運賃などはわかりませんが、このシートならば料金もさほど上がらずに利用できそうです。
冒頭で述べたように、「ソメイユ・プロフォン」は、高知駅・徳島駅とバスタ新宿・バスターミナル東京八重洲・TDLを運行する夜行バス・スマイルライナーで導入予定。2024年には実用化する予定とのことで、楽しみですね!
スマイルライナーのバス便
※2023年12月現在は4列シートで運行中
※取材協力:高知駅前観光
(バスとりっぷ編集部)