ざっくり、こんなバス
- 時間になっても来ないバスは待つ? それともあきらめる?
- 車内設備は壊れているところが目立つ
- 高いからと言ってサービスが良いとは限らない!
国際線バス利用時のトラブル対応の方法とは?
今回私が予約したのは、ポーランド第二の都市であるクラクフから、チェコの首都であるプラハに向かう夜行バスです。この便を選んだ理由は、「バスとりっぷ」でまだ紹介されていない会社を利用してみたい! と考えたため。また、他社のプラハ行きの夜行便が28EURであったのに対し、当便は33EURと高めであったことからサービスに期待し、乗ってみたくなったのです(1EUR=120円 ※2019年10月時点)。
クラクフ駅前に位置するバスターミナル、Dworzec MDAからはポーランドの地方都市や、近隣諸国へのバスが出ています。待合室は日本のバスターミナルと同様にベンチが並び、お菓子や飲み物を販売する自販機やカフェ、両替所があります。トイレは有料で、日本円にして約70円で利用可能です。
Dworzec MDAは日本のバスターミナルと違って、乗車便のアナウンスはありません。乗客は皆、電光掲示板で自分のバスを確認して乗車口に移動していくのでとても静かです。私が乗車するのは21:05発のプラハ行きなので、掲示板に表示されたG11乗車口に向かいます。
20:55にG11乗車口に到着すると、ベンチでバスを待つ人がちらほら。頭上には「21:05 PRAGA」と表示された電光掲示板がありました。プラハは英語名ではPRAHAですが、国によってPRAGUE、PRAGAと記載や発音が変わります。
ところが、発車時間の5分前になってもバスは到着しません。日本の高速バスだと10分前には乗車が始まるのになぁと思いながらバスを待ちます。21:15になってもバスは到着せず、頭上の電光掲示板から「21:05 PRAGA」の表示が消えたのを見て「これは何かあったな」と気が付きました。チケット予約の際に「遅延の場合はE-mailか、携帯電話のSMSで連絡する」と表示があったのでE-mailをチェックしてみましたが、特に連絡がないので状況が掴めません。
スマートフォンをいじっていた私に「日本の方ですか?」と声をかけてきた日本人女性(以降、Yさんと表記します)がいました。Yさんも同便を利用予定で、不安になって私に声をかけてみたとのこと。バスを待つのであれば、連れがいると気持ち的にずいぶん楽だよね、ということで一緒に待つことにしました。
まず私たちが確認したのは、今いる場所はバス会社指定のバスターミナルであるかどうか。次にG11乗車口付近でプラハに向かいそうな人に声をかけ、状況確認をしようとしました。ところが同便を待っている人はいなかったので、情報は入手できず。待合室に戻って電光掲示板を確認しても、私たちのバスの更新情報はありません。
「まぁ、いざとなったらクラクフ駅近くに宿泊すればいいか。」と楽観的だった私。一方、Yさんは明日の夕方にプラハからパリに移動する予定があるとのこと。それは本日中に移動した方がいいよね、と話していた私たちに「何かお手伝いしましょうか?」と、英語で尋ねてくれた男性がいました。その人に事情を説明し、East-West Eurolinesのオフィスに電話をかけ、状況を確認してもらえることになりました。
通話後、男性から電話番号を渡され「電話で運行状況を確認して欲しいそうですが、ドライバーは英語が話せないそうですよ。バスがキャンセルになっている可能性もあるので、今晩はホテルに泊まって明日に移動するのが安全かもしれません。」と、アドバイスをいただきました。
親切にしてくれた男性にお礼を言って時計を見ると、もう22:30です。選択肢としてはバスを待つか、本日の乗車は見送るかの二択といったところ。23時まで待ってバスが来なかったら、移動は明日にしようと考えていたところ、East-West Eurolinesの車両が入線してくるのが見えました。
G3乗車口に停車したバスに駆け寄り「プラハ行きですか?」と聞くと、「そうだよ。自由席だから早く乗って!」と言わんばかりに身振りで乗車口を示されます。トランクを預けたところ、特に預かり表の発行もなく、日本のバスとは対応が違うのだなぁと驚かされます。
乗車して時計を見ると既に22:45。1時間40分の遅延です。Yさんと「国際線のバスなのに、パスポートの確認すらなかったよね。」と笑います。なかなか大らかなサービスのバスのようですが、これはもう今の状況を楽しむしかない! 最後尾の席に座るとすぐにバスは出発し、22:50に消灯となりました。
道中、特に休憩時間のアナウンスはなかったのですが、2時間おきにトイレ休憩がありました。休憩に利用するのは、高速道路に併設されたガソリンスタンドとコンビニが一緒になったような施設です。
こちらには日本のサービスエリアと同様、トイレや飲食スペースがあり、深夜でも軽食や飲み物を購入できます。ただし、日本と違っておみやげ類の販売はありませんでした。
このような施設で休憩をはさみつつ、バスはポーランドの地方都市であるカトヴィツェ、ヴロツワフ、イェレニャ・グーラと移動します。そこから国を跨いでチェコのリベレツ、ムラダー・ボレスラフと地方都市を移動しながら、最終目的地のプラハに向かいます。途中からはYさんと2人で最後列の席を占領して横になり、プラハまでゆっくり休めたのはラッキーでした。
そうして7:20にプラハのUAN Frorencバスターミナルに到着しました。出発は大幅に遅れたものの、到着予定時間の7:00から20分しか遅れなかったのは、ドライバーの努力の賜物だね、などとYさんと話します。
East-West Eurolinesのバス設備をご紹介!
ここで、同便の設備を紹介していきますね。
クラクフ~プラハ便を結ぶEast-West Eurolinesのバスは、1階の前方部分が運転席、乗客は全員階段を使って2階まで上がる作りになっています。2階部分は全て客席になっており、シート配列は18列、左右に2席ずつ座席が並んだ71人乗りです。面白いことに最前列の席は目の前にフロントガラス、横はサイドガラスと三方をガラスで囲まれており、展望抜群! 真夏に乗車したら日焼けしそうな造りとなっていました。
シートは合皮製で、日本ではあまり見かけない、派手な赤です。座り心地は柔らかめでなかなか快適。長時間の移動に向いていそうです。座席を倒すと、ヘッドレストが後ろの人の顔に迫るくらい、深くリクライニングします。これは大柄な男性だと窮屈に感じるかもしれません。
足元はというと、身長157cmの私がシートに深く座った状態で、膝から前方座席まで約18cmといったところ。明るくなってから気が付いたのですが、フットレストの左側が壊れているようですね。
フットレストが壊れているだけではなく、よく見ると私の席には各座席の前方についているグリップがありません。壊れたパーツは修理せずにそのまま使用するのが海外流…?
座席の下にはCタイプのコンセントがありました。こちらは問題なく使用できて、移動中にノートPCやスマートフォンをフルに充電できたのが嬉しい!
乗車時やトイレ休憩の際に表示に気が付かなかったのですが、車内にはWi-Fi設備もあったようです。
バスにトイレはあったものの、鍵がかかっており使用不可となっていました。トイレの横にはこんなポスターが…何が書いてあるかはわかりませんが、何かしらの注意書きに間違いなさそうです。
私がバスの写真を撮っていると、ドライバーがカメラに向かってポーズを取ったり、手を振ってくれたりとサービス精神を発揮してくれました。運転席のドライバーが、満面の笑みで写っているのがわかるでしょうか?
この後、私とYさんは次の目的地に向かうバスに手を振って見送り、ドライバーはそれに応えるようにクラクションを鳴らしてバスターミナルを出ていきました。
国際線バス利用時の3つの注意点!
今回、なぜバスが遅延したのでしょうか? 気になって、Webサイトでバスの旅程を確認してみました。
どうやら私が乗車した便は、ウクライナの都市を移動した後、14時にリヴィウという街から約325km離れたポーランドのクラクフまで移動。そこからさらにプラハまで移動、というルートを辿っていたようです。おそらくウクライナを移動する際に遅延したことで、クラクフへの到着が遅れたのでしょう。国際線のフライトで8時間の遅れを経験したことがありますが、バスでここまでの遅延を体験したのは初めてでした。
そこで、国際線のバスで旅行を考えている人向けに注意点を3点、まとめてみます。
1.バスの運行ルートは要チェック!
私が乗車した便のように、乗車地の前にどこかを経由している便や、目的地まで停車地が多い便は、遅延が発生する可能性大! 予約前にバスルートをチェックし、いざとなったらバスを変えるという選択肢もあります。
2.高いからといって、サービスが良いわけではない
大幅な遅延でもバス会社から連絡がなかったり、あちこち壊れたままになっていたりするバス設備を見る限り、値段が高いからといってサービスを期待しすぎない方が良さそうです。
3.いざという時の、宿泊先を確保!
クラクフ出発前日に宿泊していたホステルが駅から5分と近く、8EURと安かったこと、さらに旅程に余裕があったため、そう慌てないでいられました。いざという時にはそういった選択肢もある、と覚えておくと気持ちが楽ですよ!
バスの出発時間が大幅に遅れたものの、ある意味トラブル対応を学べた、思い出深い体験になりました。もちろん遅延はないに越したことはないのですが、こんな事もあるだろう、と事前に予測できていれば異国でのバス乗車も怖くありません。海外でバス移動を考えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!
(為平千寿香)