2018年、私が乗車した高速バスは約80車両。豪華夜行高速バスの登場が相次いだ昨年と比較すると、2018年は目立った新型車両の登場が少ない印象ですが、車両数で比較すると昨年以上に乗りました。
その中から、特にこのバスは良かった! という個人的ベスト3をご紹介します!
第3位:WILLER EXPRESS「コモド」(青森・弘前~東京・TDR)
第3位は、WILLER EXPRESS「コモド」です。
車両前方が4列シート「リラックス(NEW)」、後方が3列独立シート「コモド」8席という座席配列になっており、このタイプの車両は、東京~京阪神間や東京~新潟間、大阪~福岡間など全国各地で運行されていますが、私が乗車したのは、岩手県北自動車南部支社(通称:南部バス)が運行する青森・弘前~東京・TDR線でした。
第3位に選んだ理由は、「コモド」が良く考えられたシートであるから。
座面の幅を広くしている他、足置き台のつま先部分を空洞にすることで、ゆったりと足を伸ばせられるようになっています。各座席にはコンセントと通路カーテンを完備。通路カーテンで座席の前後も仕切られるようになっています。
Wi-fiサービス(MICHINORI Free Wi-Fi)も提供されており、トイレがないことを除くと、高速バスとしてはハイグレードな仕様に仕上がっています。
私が乗車した日は大雪の影響で大幅に遅延し、バスタ新宿に到着したのは定刻約4時間半遅れの11時頃でした。
4時間以上の遅延で、さすがにお尻が痛くなりましたが、仮に定時で運行されていれば、もしかすると第2位にランクアップしていたかもしれません。それほどまでに「コモド」はよく考えられたシートだと感じました。
しかし、青森・弘前~東京・TDR間で「コモド」の旅が楽しめるのもあとわずか。実は、2018年一杯で岩手県北自動車南部支社によるWILLER EXPRESSの運行が終了することになっています。
来年2019年1月1日からは、新たにみちのりホールディングスの高速バスブランド「MEX」(MICHINORI EXPRESS)として運行を開始する予定です。
第2位:京王バス東「プリンセスロード」と新潟交通「おけさ号」
第2位は、京王バス東「プリンセスロード」と新潟交通「おけさ号」の2路線を選びました。
選んだ理由は、ズバリ「使い勝手の良さ」と「老舗事業者ならではの安心感」です。
「プリンセスロード」(新宿・渋谷~神戸三ノ宮・姫路)は、新宿~神戸三ノ宮間を約7時間半、新宿~姫路間を約9時間半でむすぶ夜行高速バス。東京都内~神戸・姫路間を乗り換えなしで移動したい方には、とても便利なバスです。
私が注目したのは、シートの座り心地の良さです。
クッションがちょうど良い固さになっており、リクライニングの角度も深いのが特長。可動式枕・レッグレスト・フットレスト(足置き台)も装備しており、ゆったりと休むことができます。
バスの運行も、高速バスの運行では実績がある京王バス東と神姫バスの2社が手を組んでおり、安心して利用できます。
▼「プリンセスロード」の乗車記はこちら
必要な装備はすべてある!? 3列独立シート&コンセント付き高速バス・京王バス東「プリンセスロード」で東京→神戸へ
【神戸→東京】高速バス「プリンセスロード」はまさにお姫様扱い!? 3列独立シートは仕切りカーテン付きで個室みたい
新潟交通「おけさ号」(大阪・京都~新潟)は、大阪・京都~新潟間を約9時間半で結ぶ夜行高速バス。バス以外の夜行交通機関がない区間だけに、乗り換えなしで移動できる利便性の良さがこの路線の特長です。平日・休日を問わず、数多くの方に利用されています。
車内は3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様となっており、通路カーテン、座席コンセントも装備されています。シートもゆったりとしており、充実した車内設備、そして通路カーテンのおかげで、消灯後は翌朝の休憩まで目を覚ますことなく、ぐっすり眠ることができました。
バスの運行も、高速バスの運行では実績がある阪急バスと新潟交通の2社が手を組んでおり、こちらも安心して利用できます。
第1位:JRバス関東・西日本JRバス「プレミアムドリーム」(東京~京都・大阪・奈良・神戸)
堂々の第1位は、JRバス関東・西日本JRバスの「プレミアムドリーム」です。昨年2017年に個室タイプの「ドリームルリエ」が登場したことで、影が薄くなった印象を受けますが、豪華夜行バスの先駆者的存在として根強い人気を誇ります。
「寝返りがうてる」と評判の超幅広「プレミアムシート」と、快適な眠りを追求したクレイドルタイプの「スーパーシート」は、心地よい眠りを提供してくれること間違いなしです。
おすすめは、やはり1階席の「プレミアムシート」です。「ドリームルリエ」のような個室感覚を味わうことはできませんが、プライベートカーテンで通路と座席を仕切ることができるほか、フルセグ対応テレビや座席コンセントなども完備しており、人によっては「ドリームルリエ」よりも付帯設備が充実していると感じるかもしれません。
水平近くまで倒れる「プレミアムシート」の寝心地は、是非とも体験していただきたいです。
なお、車両の老朽化などの理由で「プレミアムドリーム」の本数は減少傾向にありますので、できれば早めに乗車することをおすすめします。
【番外】車窓が楽しめる長距離昼行高速バスにも注目!
ベスト3には入りませんでしたが、今年は長距離を走る昼行高速バスに注目した年でもありました。なかでも印象に残ったのが、弘南バス「スカイ号」と西日本鉄道「ごかせ号」でした。
「スカイ号」は、青森・弘前~上野間を約10時間で走破する日本最長昼行高速バスです。
車内はトイレ付き4列シートとシンプルですが、途中休憩が4回(うち1回は昼食休憩)設定されているため、長時間乗車が苦にならないように配慮されています。高速バスというよりは、「高速道路を走破する日帰りバスツアー」に近い感覚です。
南下するにつれて雪景色から春を告げる景色に変化していく車窓も、個人的には印象に残りました。
一方の「ごかせ号」は、福岡(博多・天神)~高千穂・延岡間を結ぶ昼行高速バスです。
車内は、夜行高速仕様の3列独立シート28人乗り。所要約4時間半の路線でありながら、夜行高速バスとほぼ同様のサービスを提供しています。
「ごかせ号」の最大の特長は、なんといっても車窓からの景色です。特に、松橋~延岡間の九州山地の景色は、是非とも見ておきたいです。
晴れている時の車窓一面に広がる景色は、絶景そのものといえるでしょう。
高千穂からの幻想的な風景も印象に残りました。
来年はどのような「わくわくさせるバス」が登場するのか、今から楽しみです。
2019年もいろいろなバスに乗りたいですね。
(須田浩司)