ラニーニャ現象の概要とメカニズム、ラニーニャ現象が発生した際の日本への影響について解説します。
ラニーニャ現象が発生すると日本は猛暑や大雪に
天気予報やニュースでたまに聞く「ラニーニャ現象」ですが、どういった現象なのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか?今回は、ラニーニャ現象について日本への影響やメカニズムについて解説します。
そもそも、ラニーニャ現象が発生した際の日本の天候はどのような特徴があるのでしょうか。
ラニーニャ現象が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が活発になります。
日本付近では、夏季は太平洋高気圧が北に張り出し、気温が高くなる傾向があります。特に、沖縄・奄美では南から湿った気流の影響を受けやすくなり、降水量が多くなりやすいです。
冬季は西高東低の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向があります。
つまり、ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では、夏は猛暑など厳しい暑さの日が増え、反対に冬は寒気が南下して気温が低く大雪になる傾向があります。
反対に、エルニーニョ現象発生時は冷夏・暖冬になりやすいです。
エルニーニョ現象については、別の記事でも解説していますので、ぜひご確認ください。
■エルニーニョ現象とは 発生時は冷夏や暖冬になりやすい 台風傾向など日本への影響を徹底解説
https://tenki.jp/suppl/tenkijp_labo/2023/09/15/32165.html
ラニーニャ現象とは 定義について解説
エルニーニョ現象やラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が変化する現象のことで、厳密には大気現象のことではありません。
ラニーニャ現象は、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より低くなり、その状態が1年程度続く現象のことをいいます。逆に、同じ海域で海面水温が平年より高い状態が続く現象はエルニーニョ現象と呼ばれています。
それぞれ数年おきに発生するが、エルニーニョ現象とラニーニャ現象は常に起こっている現象ではなく、エルニーニョ現象が起こっている時、ラニーニャ現象が起こっている時、そのどちらも起こっていない通常の状態の時があります。
ラニーニャ現象が発生するメカニズム
まず、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も起こっていない通常の状態では、太平洋の赤道付近では「貿易風」という東風が常に吹いています。通常この貿易風によって、海面付近の暖かい海水が西側のインドネシア付近に吹き寄せられ、反対の東側、南米の海上では、海の深い所から冷たい海水が沸き上がってきています。
海は深さによって水温が変わるため、海の上の方の海水面は太陽からの日射や空気の温度を受けて暖かく、それらが届きにくい海の深い所には冷たい水があります。貿易風によって海水面の暖かい水が風で押し流されると、その空いた場所に冷たい水が沸き上がってきます。
貿易風が何らかの原因で強まると、暖かい海水が西側に吹き寄せられる力が強まって、暖かい海水が暑い層になって西側に溜まります。東側では、冷たい水の沸き上がりが通常より強くなります。
このようなメカニズムで、太平洋赤道域の日付変更線から南米沖にかけて、海面水温が通常より低くなりその状態が1年以上続く現象をラニーニャ現現象と呼びます。
反対に、太平洋赤道域の日付変更線から南米沖にかけて、海面水温が通常より高くなり、その状態が1年以上続く現象をエルニーニョ現象と呼びます。