少しずつ移り変わっていく季節。古くから、自然の色を衣類や小物に取り入れて、目でも季節を楽しむという習慣がありますよね。前回から晩夏や初秋に合った日本の色についてご紹介していますが、今回は、『植物』の色と『鳥』の色からピックアップしてみました。
古に想いを馳せつつ、普段のコーディネートや小物、インテリアなど、アレンジやお買い物の参考にしてみてはいかがでしょうか。
植物の色から〜 1. 鬱金
「ウコン」と読めましたか？ショウガ科の植物です。カレーのスパイスとして、たくあんの色付けとして知っている方も多いのではないでしょうか？
ウコンには殺菌や防虫の効果が期待できるため、ウコンで染めた産着や肌着など、また美術品や陶器などを包む布としても重宝されてきました。
このウコンは酢を利かせて染めると鮮やかな黄色になります。これが『鬱金色』です。江戸時代には華やかな色が好まれたそうで、緋色とともに、大変人気のあった色だそうです。はっきりした色なので、洋服で取り入れるとコントラストがとても綺麗です。茶やネイビーなどに合わせてみてはいかがでしょう。
また、『黄金色』の仲間でもあるため、金運上昇の願掛けとして、お財布などの小物に取り入れてみてもいいかもしれませんね。
植物の色から〜 2. 藤袴
「フジバカマ」と読みます。秋の七草のひとつでもあります。キク科の植物で、花の色が藤色で、花弁が袴のようであるためにこの名が付けられたそうです。これからの時期に開花しますので、ぜひ、探してみてください。
桜餅のような、よい香りがするので、平安時代の女性はこの葉を浸けた水で洗髪したそうです。少しグレーみのある藤色が『藤袴色』です。透明感を感じさせる寒色なので、白と合わせてみれば、とても柔らかく着こなすことができそうですよね。アクセサリーにゴールドなどを合わせるとゴージャスな印象になるでしょうし、シルバーであれば落ち着いた印象になるかと思います。ストールやスカーフなど顔まわりに使うと、透明感や儚さをもたらしてくれそうな色です。
鳥の色から〜 1. 鴇
「トキ」です。学名がニッポニア・ニッポン。国指定特別天然記念物であり、国際保護鳥に指定されている、日本を代表する鳥です。見た目は少し、サギのようでもあります。顔と脚が赤く、頭に冠羽があります。鴇が羽を広げて飛んでいる時に見える、羽の内側の薄桃色が『鴇色』です。桜色よりは濃く、桃色よりは柔らかいピンク色です。落ち着いた色合いですが、可愛らしい印象をもたらすので、身につける際には全体の面積から、甘さを計算しやすいのではないでしょうか。ピンストライプの色であったり、ハンカチなど、男女問わずに楽しめるかと思います。
鳥の色から〜 2. 雀
「スズメ」です。日本ではお馴染みの、よく見かける鳥です。江戸時代も同様で、褐色と灰色が大流行した時期もあり、好まれた色のひとつです。
雀の頭のような灰色がかった褐色、もしくは雀の背のもう少し灰色の強い褐色を『雀色』と呼びます。また、日が落ちかけてとても薄暗くなった夕暮れ時の色を『雀色時（スズメイロドキ）』と形容することもあります。赤みのある濃い茶色はレザー製品などにも多いので、取り入れやすいのではないでしょうか。
さらに濃い色を合わせて、チョコレートカラーとして楽しんだり、生成りなどと合わせてナチュラルなムードを楽しんでも。これからの時期に重宝する、こっくりとした、使いやすい色です。
素材や質感でも、色の雰囲気は変わります。いつもとちょっと違ったアプローチで季節を楽しんでみてはいかがでしょうか？
参考
美しい日本の伝統色／パイインターナショナル
