寒くて寒くてたまらなかった冬が終わると、待ちに待った桜の季節がやってきます!神奈川県の桜の名所と言えば「三ツ池公園」や「根岸森林公園」、「大岡川プロムナード」、「三溪園」、「小田原城址公園」などがあげられますが、人気のお花見名所だけあって混雑してしまうのも事実。今回はゆったりとお花見を楽しみたいという人のために、他県民の方々にはあまり知られていない神奈川県の桜の名所をご紹介します。
1.海軍道路の桜並木
横浜市の「旧上瀬谷(かみせや)通信施設跡地」を貫く「海軍道路」。 相模鉄道「瀬谷駅」から八王子街道に向けて伸びる約3kmの直線道路で、道の両側に桜の木が数多く植えられています。近隣住民やこちらの道路を日常的に使う人にとって、ここの桜は毎年春の訪れを告げてくれる風物詩。桜がアーチ状になっているので満開を迎える頃にはピンクに染まったトンネルの中を走っているような気分を味わえます。もちろん歩道も整備されているので、歩きながらゆっくりお花見を楽しむのもオススメです。
なお、こちらの桜並木は区画整理事業のため伐採計画が持ち上がっています。もしかすると近年中には見られなくなってしまう恐れもあるので、今のうちに写真や記憶の中におさめておきたいところです。
2.はだの桜みち
神奈川県の西部に位置する秦野市には、“神奈川県下では最も長い桜並木”とも言われる「はだの桜みち」という桜の名所があります。その長さは、県道62号の「西大竹交差点」から県道706号「新橋交差点」までの全長約6.2km!緑の多い秦野市にあって風景と桜とのコントラストは大変素晴らしく、秦野市民が毎年心待ちにしている名所です。小田急線「秦野駅」や「渋沢駅」から歩いて行くこともできてアクセスは抜群。端から端まで歩いても、どちらも最寄り駅があるので片道だけ楽しむこともできます。
3.引地川沿いの桜並木(大和市・綾瀬市・藤沢市)
神奈川県大和市にある「泉の森」の水源地を起点として、綾瀬市、藤沢市を経て相模湾に流れる引地川(ひきじがわ)。全長約20kmの川沿いには遊歩道などが整備されていて随所に桜が植えられています。
中原街道と引地川が交差する「新道下大橋」付近から約1.3kmにわたっては川の両岸に桜が植えられ、「引地川千本桜」と呼ばれる桜のトンネルが出現。川幅が5mほどしかない箇所もあって満開時期にはピクニックなどが楽しめます。
また、下流の方へ足を運ぶと、小田急江ノ島線「湘南台駅」から徒歩5分ほどのところにある「円行公園」付近の桜も見事。さらに下流にある「引地川親水公園」は子ども向けの遊具が整備されており、花見のシーズンになると多くの家族連れで賑わいます。
4.吾妻山公園の桜
神奈川県の二宮町にある吾妻山(あづまやま)は、西湘エリアきっての桜の名所です。頂上付近は「吾妻山公園」として整備されており、相模湾を一望できるロケーションとなっています。晴れた日には遠く富士山をバックに桜とのコラボ写真を撮ることも可能。また、菜の花と桜の開花時期が重なる頃にはイエローとピンクの華やかな競演を楽しめます。
なお、頂上にある吾妻山公園まで行くには登山道を上る必要があります。ちょっとしたハイキングとなるので、運動靴や歩きやすい恰好で行くのがオススメ。公園内には芝生が広がっているゾーンもあるのでレジャーシートなどを準備しておくと便利です。
5.高麗山公園(湘南平)の桜
先に紹介した「吾妻山公園」がある二宮町の程近く、大磯町と平塚市にまたがる「高麗山(こまやま)公園(通称:湘南平)」も相模湾を一望できる桜の名所です。当公園は「かながわの景勝50選」や「平塚八景」にも選ばれるほどの絶景スポットなので、デートやドライブで訪れたことがある神奈川県民も多いはず。桜の本数自体は少なめですが、こちらは頂上付近に大きな駐車場があり、JR平塚駅からはバスも出ているので足腰に自信が無い人でも気軽に訪れることができます。
なお、JR大磯駅からは歩いて上れるハイキングコースが整備されているので、山登りも楽しみたいという方にもオススメ。コース上にも桜が点在しているのでとっても気持ちが良いですよ。
6.まつもと滝桜
福島県三春町にある「三春滝桜」と言えば日本三大桜の一つ。これを神奈川県でも見られることは県民にもあまり知られていません。それが神奈川県西部の中井町松本地区に鎮座する泰翁寺(たいおうじ)近く、畑のひな壇や斜面に咲く「まつもと滝桜」です。
今から約30年前、この地域に住む一人の男性が「三春滝桜」の実生(みしょう)苗木を頼み込んで譲り受けました。植栽された10本の苗木は地域住民の方々が大切に育てた結果、今では見事な花を咲かせるようになりました。例年、満開時期には近隣住民による花見会も開かれ、夜桜ライトアップも実施しています。
※2023年の花見会、夜桜ライトアップの実施は未定
7.南足柄市の春めき桜
「金太郎」の昔話で有名な金時山の麓に位置する南足柄市では「春めき桜(別名:足柄桜)」という早咲きの固有種を観ることができます。カンヒザクラとシナミザクラを交配し、2000年に品種登録された比較的新しい品種でソメイヨシノよりもピンクが濃く、河津桜よりも色が薄いのが特徴です。
市内には春めき桜を楽しめる場所がいくつかありますが、JAかながわ西湘の近くにある「一ノ堰ハラネ」や「富士フイルム神奈川工場」東側などがオススメです。とくに狩川堤防の両側に整備された「春木径」と「幸せ道」には、1周およそ1.5kmの道に沿って171本の春めき桜が植えられており、時期が重なれば菜の花との共演も楽しめます。
今回は、神奈川県内に30年以上住んでいる筆者がオススメしたい隠れた桜名所をご紹介しました。地元の商店街や住宅街の桜並木など、神奈川県内には名もない桜の名所がまだまだあります。今年は混雑を回避して、自分だけの桜の名所を探してみるのも良いかもしれませんね。