約1年7か月の周期で満ち欠けを繰り返し、見かけの大きさも変化する金星。今年は年間を通じて高度が高く、宵の明星としても明けの明星としても、目を引く輝きを放ちます。
今回は、2月下旬から3月上旬にかけての、金星の観測ポイントをご紹介します。
月のように満ち欠けして、大きさも変わる金星
太陽の光を反射して輝く金星は、太陽と地球との位置関係によって、月と同じように満ち欠けして見えます。地球と月との距離に比べると、地球と金星とのあいだの距離は大きく変化します。そのため、金星は満ち欠けに加えて見かけの大きさ(視直径)も変化するのです。
形や大きさの変化は肉眼ではわかりませんが、地球に近付く最大光度のころは三日月のように欠けた形をしています。
地球から見て金星が太陽の向こう側に位置する「外合」のころは、金星は満月のような形に見えます。この時は、地球から金星までの距離は遠く、金星の見かけ上の大きさも小さくなるため、明るさは控えめになるのです。
【2月22日】幻想的な三日月との共演
日の入り後、西の低空には金星が明るく輝いています。今年は7月頃まで、「宵の明星」として美しい姿を見せてくれます。
22日には、新月を過ぎた細い三日月が金星に近付き、目を引く眺めとなるでしょう。この頃の金星の明るさはマイナス3.9等で、とても良く目立ちます。日没後のひと時、西の方角の視界が開けた場所から、幻想的な月と金星の共演を楽しみましょう。
【3月2日】明るいふたつの惑星、金星と木星が大接近!
2月下旬から3月上旬にかけて、日の入り後の西の空で金星と木星が大接近し、華やかな光景に。最接近は3月2日で、0.5度(満月の見かけ直径程度)まで近付く大接近となります。
見頃の終盤を迎えて高度を下げる木星と、7月の最大光度に向けて徐々に高度を上げる金星。最接近の前後も、2惑星の位置の変化を観察してみましょう。
金星は8月中旬に、地球と太陽の間に入る「内合」となります。太陽と同じ方向に位置するため、目にすることができなくなります。その後、8月下旬ごろからは明け方の東の空に「明けの明星」として再び姿を現します。
・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2023』 アストロアーツ
・参考サイト
アストロアーツ「宵の明星 金星」
国立天文台「月が金星、木星に接近(2023年2月)」
国立天文台「金星と木星の接近(2023年3月)」