11月8日は「皆既月食」が起こり、日本全国で観察することができます。見たい!と思っている方も多いと思いますので、皆既月食を更に楽しめるように、メカニズムや魅力を解説します。動画も合わせて観てくださいね。
皆既月食のメカニズム
皆既月食はどうして起こるのでしょうか?月は太陽の光を反射して光っているというのは皆さん知っていますよね。月は地球の周りを公転しているので、太陽・地球・月が一直線に並んだ時に、月が地球の影の中に入り、月が暗くなったり、一部がかけたように見えたりするのが「月食」です。
特に、今回見られる「皆既月食」は、太陽の光が地球によってほぼ遮られることでできる「本影(ほんえい)」という濃い影に、月の全てが入り込む現象を指します。ちなみに、本影に月の一部が入り込む現象は「部分食」と言います。
月食は満月の時にしか起こらない?
月食は、太陽・地球・月が一直線に並んだ時に、月が地球の影の中に入りこむことで起こるため、月が満月の位置にある時にだけ起こります。半月や三日月の時には月食は起こりません。では、満月のたびに月食が起こるのかというと、そういう訳でもありません。宇宙の中で、太陽の通り道に対して月の通り道が傾いているので、太陽・地球・月が一直線に並ぶことは珍しく、満月のたびに月食が起こることはありません。
「皆既月食」の魅力 次の月食は"2025"年!
最後に、皆既月食の魅力を2点お伝えします。
①珍しい現象であるところ
皆既月食が珍しい現象であることは、何となく知っている方も多いかと思いますが、2010年~2030年の20年間で皆既月食が日本で見られる日は、たった15日しかないんです。今回の11月8日の皆既月食の後は、2025年の3月14日まで見ることができません。しかも天気も晴れていなければならないので、とっても貴重な機会であることが分かると思います。
②月の色が変わるところ
皆既月食で月の色が変わるって知っていましたか?実は、「赤胴色(しゃくどうしょく)」と呼ばれる赤黒い色に変化するんです。これは偶然赤くなっているわけではなく、ちゃんと科学的な理由があります。地球の周りには大気があって、太陽の光が大気の中を通過する時、波長の短い青い光はほとんど散乱されてしまうのですが、波長の長い赤い光は散乱されにくく、弱まりながらも大気を通過することができます。更に、地球の大気がレンズのような役割をして、太陽の光が屈折をします。屈折したかすかな赤い光が月を照らすので、月が赤く見えるのです。
皆既月食は珍しい現象なのに、日食やほかの天体イベントと比較して、簡単に楽しめるところも魅力です。肉眼でも見られますし、双眼鏡があれば、月面や月の色を更に詳しく観察することができますよ。今回の皆既月食は日本全国で見ることができるので、ぜひ楽しんでください!
出典:月食とは(国立天文台)
皆既月食・天王星食(2022年11月) (国立天文台)
動画解説:工藤 佳奈子