
7年前の18年夏。22日の第107回全国高校野球秋田大会決勝で完投し、2年連続の甲子園出場を決めた金足農(秋田)の吉田大輝(たいき)投手(3年)は、兄輝星(24、現オリックス)がマウンドで躍動した「カナノウ旋風」をアルプススタンドで体感していた。
小学5年。スクールカラーの紫色メガホンを手に、「KANANO」と胸に記されたTシャツ姿。家族席ではなく、1、2年生の現役部員と一緒に、秋田名物「タイガーラグ」などの応援歌を大声で歌い、踊り、兄の背中を押した。いつも呼ぶ通りに「こうせい~」と叫んだ。「こうせいは家でも一緒に遊んでくれたり、優しいです。野球の時には格好いい。ごはんをたくさん食べろって言われています」。がっしり体形が印象的だった。
当時、輝星にも聞いたことがある。甲子園で準優勝後、「弟もカナノウで野球やるよね? 吉田家の戦いはまだ続きがあるね」と。ニヤリと笑い即答した。「あいつはオレより運動神経いいっすよ。小学生時代のオレよりも能力高いし、球のスピードも速い。間違いなく上っす。かわいい顔しているし、人としてもしっかりしているから、女の子にもモテるみたいです」。その言葉通り、兄を超えるニュースター誕生となる可能性は十分ありそうだ。【18~20年高校野球担当=鎌田直秀】