今年1年はどんな年でしたか?毎年恒例、日本気象協会に所属する気象予報士に「今年の天気を表す漢字」を聞きました。今年は123名の気象予報士がアンケートに答え、2021年の漢字が決定しました!
2021年「今年の天気を表す漢字」 選ばれたのは…?
日本気象協会に所属する気象予報士123名に「今年の天気を表す漢字」を聞いたところ、1位に選ばれたのは「変」でした!
今年も選ばれた漢字を、日本に唯一ある気象の神社「気象神社(東京高円寺にある氷川神社境内)」の宮司さんにしたためていただきました。その様子はこちらの動画をご覧ください。
気象予報士が選んだ「今年の天気を表す漢字」 TOP5はこちら!
1位の「変」に続き、2位から5位にはそれぞれ「雨」「災」「暑」「豪」が選ばれました。
冬の北日本から西日本の日本海側を中心とした大雪や暴風、夏の西日本から東日本にかけての大雨および長雨、秋まで続いた季節外れの暑さといった、今年起こった特徴的な事象に関する漢字が選ばれる傾向にありました。
●第1位「変」
<選考した気象予報士のコメント>
・「梅雨が長かったり、夏に長雨があったり、秋に気温が急変動したりと、おかしな天候が多かったため。」
・「太平洋高気圧の勢力が日本付近で弱く、変な気圧配置の夏だった。」
・「ノーベル賞でも気候変動の研究が受賞するなど、より一層注目度が高まったと思うから。」
・「避難勧告の廃止をはじめとした避難情報の見直しや、線状降水帯情報の提供開始、防災・気象情報に大きな変化があった一年だったため。」
例年通りではない“おかしな” 気象・気候という意味で「変」を選んだ気象予報士が多いことが伺えました。また、地球温暖化や気候変動研究の基礎を作られた米プリンストン大上級研究員 真鍋淑郎氏のノーベル物理学賞受賞や、防災情報・気象情報にも大きな変化があった2021年でもありました。
以上のような様々な出来事に絡めた「変」という漢字が、今年を表す漢字の1位として選ばれました!
●第2位 「雨」
<選考した気象予報士のコメント>
・「7月の他、8月の大雨が強く記憶に刻まれたため。」
・「「今年も」という表現の方が正しいかもしれませんが、豪雨による被害が目立ちました。予測の難しさを痛感すると同時にやりがいも感じました。」
・「真夏の前線停滞による長雨で、記録的な雨量になった所が多かったため。」
昨年1位だった「雨」を、“今年も”選んだという意見が聞こえてきました。
7月には静岡県や神奈川県を中心に大雨が降り、静岡県熱海市では大規模な土砂災害が発生。8月も西日本から東日本の広い範囲で異例の長雨となり、夏の雨が印象に残ったという理由で「雨」 の漢字が2位に選ばれました。
●第3位 「災」
<選考した気象予報士のコメント>
・「熱海の土砂災害が大雨に伴う「気象災害」とともに、盛り土による「人災」であったことによる。」
・「熱海市の土石流災害(7月)、西日本の集中豪雨(8月)など、雨によって今年もたくさんの災害が引き起こされたことが記憶に残る年であったため。」
・「大雪、大雨など災害が目立った。1月に新潟県や北陸で大雪、上越市では9年ぶりに一斉雪下ろしが行われ、JR新潟では3日間計画運休などが行われた。」
多くの気象予報士が「静岡県熱海市で発生した土砂災害」を思い浮かべ「災」を選びました。また、2021年の始まり早々、1月7日から11日にかけては、北日本から西日本の日本海側を中心に広い範囲で大雪・暴風となり、通行止めや車両の立ち往生、停電や事故が発生するなど、大きな災害が印象に残る1年でした。
災害への備えは、tenki.jp「知る防災」(https://tenki.jp/bousai/knowledge/)で、普段から心掛けましょう!
●第4位 「暑」
<選考した気象予報士のコメント>
・「夏は言うに及ばず、秋も暑い日が多かった。」
・「10月の真夏日回数の記録が各地で更新されるなど、今年は暑い期間が長かった。」
・「10月になるまで暑く、長袖に移行する時期選びに困りました。」
10月15日に大分県日田市で30.9℃を観測し、1942年の統計開始以来「最も遅い真夏日※」の記録を更新するなど、10月中旬まで続いた季節外れの「暑」さが印象的な2021年でした。
(※真夏日:最高気温が30℃以上の日)
●第5位 「豪」
<選考した気象予報士のコメント>
・「年始めの1月の豪雪による被害が大きく、強く印象に残っているため。」
・「1月の新潟や北陸等での豪雪、8月の佐賀等での豪雨があったから。」
・「今年も梅雨期は線状降水帯による豪雨災害が起きたため。」
1月は、新潟県や富山県を中心に、各地で降雪量の観測記録を更新する記録的な大雪に。この大雪で、2019年に運用を開始した「顕著な大雪に関する気象情報」が、全国で初めて北陸地方に発表されました。
また、夏の大雨についてのコメントもあがるなどし、豪雪・豪雨の「豪」の漢字が5位に選ばれました。
歴代の「今年の天気を表す漢字」との違いは?
日本気象協会では、2013年から気象予報士が選ぶ「今年の天気を表す漢字」の発表を行っています。
「変」が1位に選ばれるのは、「平成27年9月関東・東北豪雨」の発生などがあった2015年に次ぐ二度目となります。
いかがでしたでしょうか?
昨年2020年は、1位の「雨」に続き「穏」が2位に選ばれたことが特徴的でしたが、それに対して、今年は激しい気象現象を表す漢字がいくつもランクインしました。
多くの地域で雨や雪、暑さの記録が更新されて気象の変化の多い1年だったといえるでしょう。
皆さんの「今年の天気を表す漢字」は何ですか?ぜひ考えてみてください。
----<調査概要>
調査対象:日本気象協会所属の気象予報士123名
調査期間:2021年11月1日(月)~11月7日(日)