最高気温が30℃を超えると熱中症による救急搬送が増えるというデータがあり、7月や8月はできるだけ日中の運動を避けて、体を動かすなら朝晩の比較的涼しい時間帯にしたいところです。それでも夏が暑いことには違いなく、取り組む運動の種類も気をつけたいところです。
健康維持のためにランニングをしているという人も多いかと思いますが、この時期は「走る」よりも「歩く」がおすすめです。ただし普通に歩くのではなく、今回おすすめするのはファストウォーキングです。普通のウォーキングと何が違うのか、分かりやすく解説していきます。
【参考】
熱中症が起こりやすい時期と場所|大塚製薬
ファストウォーキングは時速5〜7km程度の速歩き
時速5〜7km程度の速いペースで行うウォーキングのことを「ファストウォーキング」と言います。アシックスと立命館大学の共同研究によると、時速7.5km以上のファストウォーキングは、同じ速度のランニングよりもエネルギー消費が大きくなることが分かっています。
このときの筋活動量はファストウォーキングもランニングも同等で、それでいてファストウォーキングをするときの足裏への衝撃(地面反力の最大値)が、ランニングをするときの68.2%に軽減されるといった研究結果が発表されています。
少し難しい話になりましたが「ファストウォーキングはランニングよりも足への負担が少ないのに、ランニングと同等の運動効果が期待できる」と覚えておきましょう。足への負担が少ないというのは、ケガの予防にもつながります。
もちろん普通のウォーキングよりもエネルギー消費量が高くなりますし、筋肉も使うことになるので、ただ歩くだけよりもしっかりと運動としての効果を得られます。
・参照・参考
ファストウォーキング|立命館大学
ファストウォーキングなら高負荷になりにくく水分補給もしやすい
夏場にランニングよりもファストウォーキングをおすすめするのは、ファストウォーキングには速度に限界があるからです。ランニングはゆっくり走るというのが意外と難しく、ある程度の走力がついてくると、簡単に時速9〜10kmくらいになります。
それくらいのスピードになると体温上昇しやすく、発汗量も増えてしまいます。でもファストウォーキングは時速7kmを維持するのは大変で、自分の意志で「速く歩こう」としないと、時速7km以上になることは難しく、結果的に発汗量抑えられます。
ランニング:集中するとスピードが出やすく発汗量が多い
ファストウォーキング:スピードが出にくく発汗量を抑えられる
さらにファストウォーキングは止まりやすいというメリットがあります。ランニングは両足が地面から離れるので勢いがつき、違和感があっても流れに乗ってそのまま走り続けてしまいがちですが、ファストウォーキングは常にどちらかの足が地面についているので、いつでも簡単に止まれます。
暑さを感じたときにファストウォーキングのほうが「今日は暑いからやめておこう」の判断がしやすく、体の上下動も少ないのでウォーキングしながらの水分補給も簡単です。自分で自分をコントロールしやすいという意味でも、夏場はファストウォーキングがおすすめです。
まずは20分間のインターバルウォーキングに挑戦してみよう
ファストウォーキングを始めるときには、時速7kmでずっと歩き続けるのではなく、速い速度とゆっくりの速度を交互に行うインターバルウォーキングを取り入れましょう。難しいことはなく、時速7kmのウォーキングを3分したら、次の3分はゆっくり歩きをするだけです。
最初はこれを3セット18分でOKです。ファストウォーキングのインターバルに慣れたら、5セット30分を目指しましょう。これでも十分な運動になります。
・頭を空から1本の糸で吊られているイメージ
・肩の力を抜く
・左右の肩甲骨を背中側で軽く寄せる
・肘は後ろに引く
・歩幅を大きくする
ファストウォーキングをするときには、姿勢が大切ですので、この5項目をしっかりと頭に入れておきましょう。ときどき鏡や窓に映る自分のウォーキングフォームをチェックしてみてください。また、次の2つも意識してください。
・時速7kmが目標
・涼しい時間帯に歩く
速度はスマートフォンのウォーキングやランニングアプリで測定できます。スマートフォンを手に持って歩くのが不安という人は、スマートフォン連携できる活動量計や腕時計スタイルのアイテムを使って、手元でスピードを表示できるようにしましょう。
最終的には30〜45分ファストウォーキングで歩き続けられるのが理想ですが、誰かと競うわけではなく自分のために歩くのですから、無理なく楽しみつつ継続することが大切。1週間に3〜4日程度、涼しい時間帯のファストウォーキングで体力をつけて夏を乗り切りましょう。