七十二候の次候は、「腐草為蛍(くされたるくさほたるとなる)」。じっとりと湿気が増し、野原では、蒸れて腐りかけた草の下で、蛍が光を放ち始める季節といわれています。
本日は傘の日。日本洋傘振興協議会では、暦の上で「入梅」にあたる6月11日を「傘の日」と定め、毎年ファッション性や機能性など傘の持つ多様な魅力の紹介につとめています。近年は、「日焼け対策や暑さ対策もできて、雨の日にも使える」という便利な機能をもつ傘も増えてきました。
今回は、そんな傘事情と梅雨についてみていきたいと思います。
入梅(にゅうばい)とは?
入梅とは、二十四節気・五節句とは別で、雑節にあたるものです。二十四節気は、古い時代の中国の黄河下流域で生まれました。日本では、明治5年まで旧暦(月の満ち欠けを基本にした太陰太陽暦)が使われていたため、太陽の動きをベースに作られた二十四節気は重宝されました。農業や土木業など太陽とは密接にかかわりあう生活をしていると目安になるものがたくさんあるからです。
ただし、中国とは多少気候風土にずれがあります。そこで二十四節気を補うためにできたのが雑節です。雑節は、全部で9つあります。「節分」「彼岸」「土用」という言葉は、聞いたことがあるのではないかと思いますが、「入梅」も雑節の一つです。
「入梅」は6/11頃とされています。実際の梅雨入りはその年によって前後しますが、立春から数えて百二十七日目。この日を目安に田植えするとよいとされていました。今でも、6月上旬梅雨入り前の手紙の書きだしには「入梅の候」と時候の挨拶で使います。
また「入梅鰯(にゅうばいいわし)」という言葉をご存知でしょうか?
梅雨時の真鰯のことで、この頃の鰯は、最も脂がのって非常に美味しいといわれています。
新ショウガの時期にも入りました。すりおろしたショウガやネギなどの薬味とともにいただくお刺身は格別です。天ぷらや塩焼きなど、シンプルに素材を楽しめるものもいいですね。
「晴雨兼用傘」「雨晴兼用傘」それぞれの機能は?
晴雨兼用傘と雨晴兼用傘、この二つは、同じようでも本来は違う傘です。詳しくみていきましょう。
簡単にいうと、「晴雨」兼用傘は雨でも使える「日傘」、「雨晴」兼用傘は晴れでも使える「雨傘」です。
・日傘で雨の日にも使える「晴雨」兼用傘
「不意の雨でも撥水加工により防げる日傘」といった位置付けがされており、デザインや大きさなどは日傘に近いものの、強い雨には向きません。
・雨傘をベースに、日傘のUVカット機能をもたせた「雨晴」兼用傘
雨傘にUV加工が施されていて、日傘としても使えます。塗装がはがれるとUV効力が落ちてしまいますが雨の日も大丈夫。
この時期なら、「雨晴」兼用傘では?と考えますが、基本的には雨傘ですので、UVカット加工が施されていても遮光や遮熱などの加工が施されていないものもあるようです。これでは光や熱を通してしまいますね。
そこで、晴れの日も雨の日も対応できる傘をお求めの方には、UV・遮光・遮熱の機能を持ちつつ雨にも対応できる、内側にコーティング加工が施された「晴雨」兼用傘がおすすめだとか。
最近は「晴雨兼用傘」と、どの傘にも表示されている場合があります。店員の方に質問しながら、購入してみるとよいですね。
梅雨の時期。マインドフルネスに雨音、湿気、太陽の光を感じてみよう
田植えにかかわる梅雨の時期をあらわす様々な言葉があります。梅雨にまつわる言葉を見てみましょう。
・走梅雨(はしりつゆ)梅雨入り前に続く雨。
・送り梅雨(おくりつゆ)そろそろ梅雨の時期が終わるころの梅雨の雨。
・戻り梅雨(もどりつゆ)梅雨が一度あけてもどってきたかのような雨。
・黒南風(くろはえ)入梅の頃に黒い雲をともなって、ざわざわと風がふき、空が暗くなります。逆は白南風、梅雨明けの白い雲をともなった風です。
・梅雨晴(つゆばれ)梅雨の中休みに見られる晴れ間。大きな洗濯物は合間をみて干します。
・空梅雨(からつゆ)ほとんど雨が降らない梅雨で、水不足になるといわれます。
・梅雨の雷(つゆのらい)雷が鳴ると梅雨があけるといわれています。
・梅雨寒(つゆさむ)梅雨の時期の冷え。
寒かったり、暑かったり、じめじめと湿気があったり、薄暗かったり。梅雨の時期は何かと心身の不調と重なり憂鬱になりがちな季節です。
体の不調はないかな?と、体の部分部分をゆっくりとスキャンしていきましょう。
ご自身が美味しいパンケーキになったような感覚で、頭の上に置いたバターがとけていくようなスピードで、頭からゆっくり確認していきます。もしくは、湯舟にはいるときの足先からゆっくり湯の温かさを感じていくように、足先からゆっくり確認してみましょう。
そして、私たちが普段は意識しなくても頑張ってくれている、心臓の鼓動や、肺の呼吸にも、感謝の気持ち、いたわりの気持ちをもって感じてみましょう。
マインドフルネスは「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」。お天気にかかわり起きている事象にじっとご自身の五感を使って感じ味わってみる時間や心のスペースをつくってみませんか?
湧いてくるイメージや思考にも価値判断をせずそっと手放し、ご自身が「今ここ」にいて感じている五感に集中し注意をそそいでみましょう。
ご自身の体験に集中することができるようになると、本来やるべきことに向かいやすくなると言われています。
梅雨時期も、健やかにお過ごしください。