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不思議な霊力を宿した豆!?旬を迎えた「そら豆」の食べ方のコツ


ホクホクの食感と甘み、わずかな苦味が魅力のそら豆。初ものは12月に鹿児島から出荷が始まり、多く出回る旬の季節は3〜6月頃になります。
今回は、春から初夏にかけて楽しみたい「そら豆」にまつわる逸話と、食べ方のコツをご紹介します。


生命の象徴であり、同時に死の象徴だった

そら豆は世界最古の農産物のひとつといわれており、ピラミッドやトロイなどの古代遺跡からも発見されています。日本へは奈良時代に伝わったとされ、明治時代に入ってから本格的に栽培が始まりました。「そら豆(空豆)」という和名は、 さやが空に向かって伸びる姿に由来します。
ヨーロッパでは、そら豆が胎児のかたちに似ていることから、古より「命のシンボル」とされてきました。結婚や農耕にまつわる祭りで振舞われ、祝いの場に欠かせないものだったのです。キリスト教の「公現節」にちなんで食されるお菓子「ガレット・デ・ロワ」の中に入れる「フェーヴ」も、当初はそら豆でした。
一方で、古代ギリシア、古代ローマでは、そら豆は「死の象徴」とも考えられていました。花弁の黒点が死を連想させるため、そら豆は葬儀に用いられ、不吉なものとされていたのです。古代ギリシアの数学者・哲学者であるピタゴラスは、そら豆には死者の魂が入っているかも知れないと恐れ、決して口にしなかったとか。イタリアでは現在も、亡くなった人を追悼する11月2日の「死者の日」には、そら豆のかたちをしたお菓子を食べる習慣があります。
生命の象徴であり、同時に死の象徴ともされるそら豆は、昔から人々に不思議な霊力を感じさせてきた特別な豆なのですね。


さや付きで購入して、早めに調理が鉄則!

栄養面では、たんぱく質や脂質のほかに、ビタミンB群、ビタミンC、カリウムを多く含んでいます。いずれも水に溶けやすい成分ですが、そら豆は厚い皮に覆われているため効率よく摂ることができるメリットも。
そら豆は鮮度が落ちやすいので、できるだけさや付きで購入し、早めに調理しましょう。すぐに使わない場合は、かために茹でて冷凍保存を。
そら豆には、黒いツメがあります。この部分は豆がさやにつながっていたところで、「おはぐろ」といいます。豆が若い状態のものは緑のままで、黒くなっていないこともあります。茹でるときは、おはぐろが黒いものを先に、緑のものは後に湯に入れると、同じくらいのかたさに茹で上がります。


まずは、シンプルに「茹で」と「焼き」で味わう

茹でそら豆のポイントは、茹ですぎないこと。思いのほか早めに火が通るので、茹で始めて1分半ほど経ったところで一度味見してみるのもおすすめです。ややかためでホクホクした食感が好みなら、短めの茹で時間でざるに上げましょう。柔らかめに仕上げる場合は、プラス1分半から2分ほどを目処に。好みの食感になるように、茹で時間を調整しましょう。
豆に切り込みを入れることで、茹で上がった時に皮をきれいに剥がすことができます。切り込みは、黒いおはぐろの反対側に包丁で浅く入れます。手間はかかりますが、ぜひ試してみてくださいね。水1リットルに対して大さじ1強の塩を入れて、湯は沸騰させないようにすると豆がかたくならずに仕上がります。

新鮮なものが手に入ったら試してみたいのが、焼きそら豆。さやごと真っ黒に焦げるくらい焼くと、なかの豆はホクホクの蒸し焼きに。魚焼きグリルにそら豆を並べ、強火で両面を焼き、焦げめが付いたらできあがり。粗熱がとれたらさやを外し、豆に塩をつけて薄皮ごといただきましょう。
お酒のアテに、サラダや前菜、スープなどの料理に。旬を迎えたそら豆を、ぜひ活用してみてくださいね。

参考文献
吉田企世子『旬の野菜の栄養事典 最新版』エクスナレッジ
参考サイト
野菜ナビ
GreenSnap
ハウス食品

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