自らを「天気オタク」と呼ぶ、奈良岡希実子(ならおかきみこ)さん。そのオタク的な視点で『天気の子』の予告映像を観たとき、いくつか気になることがあったそう。今度は醍醐虎汰朗(だいごこたろう)さんと森七菜(もりなな)さんからの質問に奈良岡さんが答えます。
雨粒の形に注目しても面白い!?
醍醐 今度は僕らから質問です。予告映像を観て、奈良岡さんが気になったことはありますか。
奈良岡 ありますよ。実は言いたくてフリップを用意してきたんです(笑)。まず、雨の形のこと(と、映画の場面のフリップを出す)。天野陽菜(あまのひな)ちゃんの顔と較べると、陽菜ちゃんてものすごく小顔なんじゃないかと思ったんです。
森 え……どういうことですか。
奈良岡 雨粒の形ってご存知ですか?
醍醐 こういうやつ(と、雫の輪郭を描いて)じゃないですか?
奈良岡 普通そう思いますよね。でも実は降ってくる雨粒は「おまんじゅう型」なんです(と、リアルな雨粒のフリップを見せる)。
醍醐・森 ええ〜〜、そうなんだ!
奈良岡 降ってくるとき空気の抵抗を受けて、こういうおまんじゅう型になります。「ティアドロップ型」では降ってこないんですよ。で、おまんじゅう型になるのは直径5mm程度。この画面のように丸く降ってくるのは直径0.5mmくらいですから、陽菜ちゃんはめちゃくちゃ顔が小さいのかもしれませんね(笑)
醍醐 5cmくらいですかね(笑)
奈良岡 実は雨粒がおまんじゅう型ということを知っている人は意外に少ないので、リアルに描いてしまったらちょっと情緒がないですね。でもトリビアということで、お友だちに教えてあげてください。
かなとこ雲の上に浮かぶ陽菜ちゃん、風邪引かないで!
森 なるほど。他にもありますか。
奈良岡 この雲ですね(と、雲が描かれたポスターのフリップを出す)。さっき予告映像にもたくさんの雲の様子が描かれていてとてもきれい、というお話をさせていただきました。この雲は「かなとこ雲」といって、ゲリラ豪雨などを降らせる「積乱雲」が発達した最強バージョンなんです。
醍醐 入道雲みたいなものですか。
奈良岡 そう、入道雲(積乱雲)がもくもくと発達して延びていき、成層圏に達すると上に成長できなくなって横に広がりかなとこ雲になります。この場所ってものすごく高度のあるところで、気温は氷点下50〜60℃。予告映像でもそこに陽菜ちゃんが浮かんでいるシーンがありましたが、ノースリーブにショートパンツだから、寒いでしょうと思いました(笑)
醍醐 さすが気象予報士さんならではの感想ですね。
奈良岡 風邪引いちゃうんじゃないかって心配してました。
森 ありがとうございます(笑)
醍醐 空の上にいても陽菜ちゃんなら全然違和感なかったんですよね。これは新しい観点です。
奈良岡 元気そうでよかったです。でもマニアックですみません(笑)
森 私も次にこの映画を観るとき、雲の上のシーンでは自分でも心配するようにします。
1時間ごとの天気予報で、体育祭の晴れ対策を
森 私は学生なので、体育祭の日は晴れてほしいし、逆にマラソン大会には雨が降ってほしいなと思うんです(笑)。お天気を味方にするにはどうしたらいいのか、お訊きしたいんです。
奈良岡 それはやっぱり天気予報を活用していただきたいんですよ。tenki.jpは、1時間ごとに予報を出していますから。
醍醐 へえ、細かいですね。
奈良岡 例えばマラソン大会がこの時間帯ってわかったら、そこがどんな天気か詳しく見ることができます。体育祭の時間帯に一部雨マークが付いていても、その前後で晴れるかもしれないし。1時間ごとの予報は細かくてとても便利ですから、ぜひ活用してください。
醍醐 なるほど、マラソン大会に雨を降らすことはできないけれど、マラソン大会の時間ごとずらせばいいんですね(笑)
奈良岡 ぜひ先生に掛け合ってみてください。
森 そうします!(笑)
奈良岡 『天気の子』が公開されて本編を観るのを、とても楽しみにしています。