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2月4日は一年の始まり「立春」です!


「立春」で季節は再び春がめぐってきました。同時に太陰太陽暦の新年が明ける一年の始まりでもあります。初夏を知らせる八十八夜や、稲の実りにかかわる台風に警戒したい二百十日は、立春を基準に数えられているのもここに理由があるのです。とはいえ「さあ、春が来たぞ!」となるまでにはまだまだ時間がかかりますよね。江戸時代の暦解説書『暦便覧』には「春の気立つをもってなり」とあります。暦は微妙な変化をちゃんと教えてくれていますよ。


「春の気」はどこから?

日本列島は北海道から沖縄、さらに南の八重山諸島と本当に南北に長いですね。春を迎える時期は北と南、また太平洋側と日本海側では全く違ってきます。とはいえ誰もが春がいよいよ来たかな? と感じるのはやはり「風」ではないでしょうか? 七十二候の第一候は「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」です。「東風」といえば有名な歌がありますね。

「東風(こち)吹かばにほひおこせよ梅の花主(あるじ)なしとて春な忘れそ」

菅原道真が京の都から左遷先の太宰府へ向かう時に詠んだ歌です。幼い頃から詩歌の才能を発揮し右大臣にまで上り詰めた道真にとっては、悔し涙があふれていたことでしょう。暖かいとまでいかない東風に響き合う梅の花の香りを詠んだ穏やかな上の句、春を忘れてくれるな、と強い意思を示した下の句。日頃愛した梅の花への道真の思いは、歌の心に包まれて春がめぐるたびに人々の口にのぼり愛好されてきたのです。この梅が一夜にして太宰府に飛んできて根付いたという飛び梅伝説も生まれています。

冬の北風が東風に変わり氷をとかし始めるころ、それが立春なのです。

太宰府にある「飛び梅」

太宰府にある「飛び梅」


「事始め」お正月は過ぎてしまいましたけれど……

旧暦の2月8日は「事始め」とよばれ、一年の祭事や農事を始める日です。謡曲「鶴亀」にも「それ青陽の春になれば、四季の節会の事始め」と歌われています。私たちにとって一年の区切りといえばお正月。一区切りつけて心を新たにしてさあ、というエネルギーが湧いてくる時ですね。そのお正月を年末からの忙しさで何となく過ごしてしまったあなたにとっては、立春もまたひとつの区切りと考えて仕切り直すいいチャンスではないでしょうか? 節分で豆をまき、心の邪気も払ったことですから気分も一新ですよね!

2月最初の午の日は「初午」です。稲荷社では初午祭がおこなわれ、初午詣でがおこなわれます。学齢に達した子はこの日から寺子屋入りをしたとか。

五穀を司る神として信仰された「宇賀御魂命(うかのみたまのみこと)」は、春になり農作業の始まりの無事なこと、稲の生育の健やかなことを祈る神様です。「稲生(いななり)」が「稲荷」へと転じ、狐にたいする民間信仰と結びついて狐の好物油揚げを供え物にする風習が起こったようです。新年ですがすべては秋の豊作への祈りへと向かうのですね。

京都 伏見稲荷大社 千本鳥居

京都 伏見稲荷大社 千本鳥居


立春がお正月! というアジアの国々もあります

日本のお正月といえば、琴と尺八で演奏される「春の海」のような穏やかで静かなもの、というのが私の印象です。いやいやそんなことはありません、賑やかに迎えますよ、という地域もあることでしょう。

海を隔てたアジアの国々では「立春」を正月としている国がたくさんあるということです。お隣の中国の「春節」は華やかな色と派手に立てる爆竹の音で新年を迎えることで有名ですね。中国では赤は縁起のいいおめでたい色、ですから婚礼衣装も赤ですって! 飾られるお札や提灯はもちろん赤! 悪を遠ざけ福を呼ぶ赤で街が彩られるのも頷けます。そして爆竹の大きな音は魔物や悪を払うためとか。こんな賑やかなお正月もまた楽しいかもしれません。そう思ったらこの時期に横浜の中華街や神戸の南京町を訪れてみて下さい。日本にいながら異国情緒たっぷりのお正月を味わうことができますよ。ともに港町、外国航路の玄関口として今も活躍する街です。海を見ながら異国へ心を飛ばしてみる春の迎え方もまたいいのではないでしょうか。

台湾 春節の飾り

台湾 春節の飾り

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