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「知って得する季語」──キラキラだらけの「早春」の季語


2019年に入り、1ヶ月が過ぎました。暖かいといわれていた冬も、「寒」に入ってからは、日本の冬らしい様相がみられています。

そんな「大寒」を経て、2月4日には「立春」を迎えます。この日を境に季節は春となるのですが、まだ寒く、実感がないという方も多いかもしれません。

二十四節季は一年を二十四に分けた暦で、「立春」は太陽黄経315度、「立秋」と同じ角度の日。前日の2月3日は季節を分ける「節分」があり、寒が明け、冬から春へと暦は移ります。

そこで今回は、ちょっと春を先取りした「早春」の季語や「節分」について調べてみました。


「節分」の語源と意外な歴史

節分とは、文字通り「季節を分ける」こと。本来は四季ごとに節分があるのですが、立春の前日だけを「節分」としたのは室町時代からだったそうです。現代では、春に変わる季節に邪気を追い払う行事が「節分」となり、広まったといわれています。

Q:節分と鬼との関係は?

A:豆まきといえば、「鬼は外、福はうち」の掛け声で鬼を追い払いますね。これは「鬼やらい」(※やらいは、追い払う)、「追儺(ついな)」(※追う儀式の略)と呼ばれ、日本では平安朝時代に中国から伝わった宮中の行事が鎌倉時代末まで続き、以降、神社や寺院で広く行われるようになったといわれています。

ちなみに、この行事は当時大晦日に行われていたそうで、神戸長田神社の「古式鬼やらい神事」は有名とのこと。

Q:節分に豆を食べるのはなぜ?

A:節分に食べる豆は「年の豆」「福豆」とも呼ばれ、年の数より一つ多く食べるとよいとされています。これは、先ほどの「節分」が大晦日に行われていたからであり、新しくとる年の分まで食べるという意味があるそう。また、地域によっては家の門戸に「柊」や「鰯」を刺しますが、柊のとがった葉で鬼の目をやっつけ、鰯の悪臭で鬼が逃げるから、といわれています。

神戸長田神社の「古式鬼やらい神事」

神戸長田神社の「古式鬼やらい神事」


語感にときめく「早春」の季語

まだ実感としてはわかない春。けれども「春」という言葉にはときめきが含まれている気がしませんか? そんな「早春」の季語をいくつか。

じわじわ実感「日脚伸ぶ(ひあしのぶ)」

冬至以降、一日一日少しずつ日照時間が伸びていますが、実感できるのは1月の半ば過ぎころではないでしょうか。まだ寒さの中にあっても、一刻一刻春に近づいている伸びをいとおしむ、晩冬の季語。

やっぱり嬉しい「春来る(はるきたる)」

「立春大吉」とも呼び「立春」のこと。もとは中国の季節区分で、この日を春としたのは農耕上の都合だったという説も。暦の上でも春とすれば、気持ちのうえでも春の兆しを覚えるのでは?

「早春(そうしゅん)」は外せません

二月いっぱいくらいをいう。ほぼ同じ意味の「浅き春」「浅春(せんしゅん)」も。この頃は雪がまだ降ったり、木々の芽吹きにも間がありますが、梅も咲きはじめ、春の気配が感じられる独特の季節感がありますね。

「如月(きさらぎ)」の意味って?

旧暦2月のことで「衣更着」とも。意味は諸説あり、「生更ぎ(きさらぎ)」と書き、草木が更生(こうせい:生まれかわる)し、万物が動き出すころと、さらに衣を重ねるからの、二つの意味が有力だそうです。

キラキラの「薄氷(うすらい)」

春の氷のこと。日差しは明るくなりますが、まだ冷えることも多く、朝方水たまりなどに張る薄い氷をいいます。しっかりした氷ではなく、しばらくして解けてしまうので、美しく、はかなさを感じる季語ですね。

(参照:俳句歳時記(春~新年) 角川学芸出版 角川文庫/入門歳時記 大野林火・著 角川学芸出版)


「早春」は喜びの季節

いかがでしたか?── 言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活に膨らみを持たせてくれるはず。

ひとことで「早春」といっても、日が伸びる実感があったり、明るさにハッとしたり、キラキラの氷を割ったり、雪国では雪が解け始めたり……、様々なシチュエーションで楽しめる季節といえるのではないでしょうか。

ちまたでは、青春を「あおはる」というように、春という言葉には期待感とわくわく感がたくさん詰まっている気がします。

桜が咲く仲春まではあっという間。ある意味、期間限定の「早春」のこの時をお見逃しなく!

早春の風物詩「薄氷」

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