新しい生活がはじまるこの季節。すがすがしい気持ちで青い空を見上げている人も多いことでしょう。そして、朝の通勤は一日の出発点。楽しく軽快にスタートしたいものですね。
そのBGMとして「スカ」を聴いてみるのはいかがでしょうか。
今回はレゲエの前身となった音楽、スカをご紹介します。
スカはレゲエの前身
「レゲエ」はご存知の方が多いでしょう。ドレッド・ヘア、ラスタカラーなどともにすっかり日本にも定着したようです。
以前にも紹介しましたが、レゲエはもともとカリブ海の大衆音楽だった「メント」や「カリプソ」などが、アメリカから入ってきたドゥーワップ、R&B、ソウルなどに影響されてジャマイカでできた新しい音楽です。
1950年代なかばにその発展途上で生まれたのがスカ(Ska)です(英語だとスキャ)。テンポやリズムが少し変わると、ロックステディ、ブルービートなどとも呼ばれます。レゲエの神様ことボブ・マーリーも初期にはスカを歌っています。
レゲエよりもそのテンポは速く、軽いのが特徴。オルガンやホーンがからむアレンジも素朴で、どこか懐かしいような味わいですが、特筆すべきは、縦ノリのリズムです。自然と足取りが軽くなるかもしれません。
スカの遺伝子
1950-1960年代のオリジナルスカには、スカタライツ、プリンス・バスター、ドン・ドラモンド、デズモンド・デッカー、アルトン・エリスといったアーティストがいます。今ではたくさんの編集盤がリリースされていますから、入手するのも簡単です。
なんといってもスカは、ジャマイカの首都キングストンなどを始めとした都市で生まれた音楽ですから、歌詞のテーマは都市風俗や恋愛などが大半を占めますが、スタンダード・ジャズや映画音楽のヒットソング(たとえば「ナバロンの要塞」「スキヤキ」など)をスカ風に取り上げることも多く、これがまた楽しいのです。
一方、イギリスはジャマイカのかつての宗主国であったという関係で、ジャマイカからの移民がイギリスで多く生活しています。音楽もジャマイカからイギリスに輸出され、スカもレゲエもイギリスでは非常にポピュラーな音楽です。
ビートルズの「オブラディ・オブラダ」もスカ、またはレゲエの「んちゃ、んちゃ」というリズムですね。もともとローカルなポピュラー音楽ではありますが、影響力は大きいのです。
1980年代にスカは突如復活しました。覚えている方も多いかもしれませんが、スペシャルズ、マッドネスなど、スカを演奏するイギリス発のスカが大ヒットしたのです。日本では1985年結成の東京スカパラダイス・オーケストラが現役ですね。
スカのリズムには元気の出る遺伝子が含まれているのかもしれません。