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一足早く新しい春の到来を愛でる花「椿」。こんなよもやま話ご存知ですか?


「首が落ちるから不吉」は迷信? 縁起の良い植物

節分にむけて寒さが増していく時期。そんな中で、赤やピンクの花弁に黄金色の王冠のような雄しべををつけた立派な椿の花を見かけます。「椿」の花は、たくさんの品種があり愛好家たちも多い園芸植物として知られていますが、「ぽとり」と落ちる様子が「首が落ちる」ことを連想させるとして嫌う風習もあります。実は「ぽとり」の言い伝え、椿ブームがおきた江戸時代に、珍しい品種を求めて破格な取引や窃盗まで出たため、それらを戒めるために流されたとも言われています。一方、散り方が潔いきれいな花としてとらえる場合もあります。もともと椿は「冬枯れしない艶やかな常緑樹」で、実生でも挿し木でも殖やすことができ、「厄除け」「長寿」「吉祥」「子孫繁栄」といった、喜ばしい木とされています。古希や喜寿、傘寿、米寿などの賀寿を「椿寿(ちんじゅ)」と呼んでいたことからも、めでたい木であることがわかります。

椿を愛でた茶人や芸術家も多く、化粧品メーカーのロゴにも登場する椿です。観賞用のみならず椿は日本人の生活に深く関わってきました。本日はそんな椿にせまります。

椿と雪

椿と雪


暮らしの中の椿

【椿の種子からとれる椿油】

椿油は、主にヤブ椿の種子を乾燥し砕いたものを蒸して搾油したものです。酸や匂いを除いて精製したものは86%から92%のオレイン酸を含むなど、オリーブオイルに勝る不乾性油の代表です。

<髪、お肌のお手入れに>

椿油の効果は賞賛されており、髪を守るトリートメントやスキンケア化粧品として、古くより 多くの女性に使われていました。髪につやを与え潤いを保つ、UV-B(有害紫外線)をカットし、ブラッシングによる摩擦を防ぎキューティクルを保護します。人の皮脂成分に近いため刺激が無く、皮膚の組織に吸収されやすくて、保湿性にも富んでいます。

<食 用>

オレイン酸が豊富なので、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす働きがあります。美味な上に、高血圧、心臓疾患、消化器疾患などにも効果があり、椿油で揚げたものは食感がよく胃もたれしません。伊東や伊豆大島へ旅行すると、魚介類や野菜を椿油で揚げる“椿フォンデュ”を楽しむこともできます。

<その他>

灯用・家具・木製品・漆器・敷居の手入れ、刃物の錆止めとして利用されてきました。椿油の搾り粕には、ナメクジの駆除効果があり、土中に鍬き込むと、線虫の駆除や肥料として使えます。その他、古くは不老長寿の薬として使われたことも記録されています。

【椿の木】

椿の木は堅く緻密で均質、重くて粘りがあり光沢がでます。椿は神が宿る木とも考えられており、邪気や災いを払う霊力があるとされます。

木材:生活用品では、食器、木魚、ろうそく立て、煙草盆、独楽、木槌などに加工されます。

灰:椿灰は椿の葉を焼いて作ります。紫根染めの媒染剤として用いられます。また焼き物の釉薬(うわぐすり)としても利用されます。

炭:火付がよく、火の子が飛ばず、火持ちが良く、熱も穏やかで最高級品とされています。蒔絵の研ぎにも使われていました。

その他、椿の葉は、下痢止めや打撲傷に効くほか、タコを柔らかく煮たり、椿餅にも利用されます。

参照

伊東市観光課:暮らしの中の椿

椿の種

椿の種


よく似ているサザンカと椿の見分け方ご存知ですか?

「サザンカ、サザンカ咲いた道、焚火だ焚火だ落ち葉炊き~」と冬の代名詞サザンカと椿の木はよく似ていますね!この二つは次のことに着目すると見分けることができるといわれています。

・椿は花弁が個々に散るのではなく萼と雌しべだけを木に残して丸ごと落ちる品種が多い一方、サザンカは花びらが個々に散る

・椿は雄しべの花糸の下半分がまとまっているが、サザンカは花糸がまとまっていない

・椿は、花は完全には平開せずカップ状のことが多いが、サザンカは、ほとんど完全に平開する

・椿の子房には毛がない種類が多いが(侘助には毛があるものもあります)、サザンカの子房には毛がある

・椿は葉柄に毛が生えない物が多いが(ユキ椿の葉柄には毛がある)、サザンカは葉柄に毛が生える。

原種は見分けやすいのですが、椿の園芸品種は多様性に富むので見分けにくい場合もあります。

椿の名前の由来には諸説があり、厚みのある葉の意味で「あつば木」、つややかな葉の「艶葉木(つやばき)」、光沢のある葉の「光沢木(つやき)」、ほかにもまだありますが、花より葉の美しさが名前の由来とされる説が多いのもおもしろいところです。

現在、椿とサザンカをあわせて、なんと約6000種あると言われる人気ぶりです。1月末~3月末にかけて、各地で椿観賞会や椿祭りが足を運んで、じっくり見比べてみたいですね。

京鹿子

京鹿子


椿はどんな香り?花言葉のいわれは?

椿の生まれは、日本や中国と言われますが、17世紀ヨーロッパに渡りました、当時のスペイン王はうつ症状に苦しんでいましたが、送られた白い椿が大変気に入り、王室の庭に植えてその雪のような白さを楽しんでいるうちに、うつ症状は消えたといわれています。

日本では、詫びを表す花として「侘助」などと呼ばれ茶花としてよく使われる上品な花ですが、ヨーロッパでは、派手で贅沢な女性のシンボルの花ともなっています。

デュマ作の「椿姫」では、娼婦マルグリットが青年アルマンによって真実の恋に目覚めますが、青年の父の反対により悲恋に終わります。この娼婦時代のマルグリットが旨に着けていたのが、この椿。

美しいけれど、散るときはポトリと首を落とし、地にあっても嫣然とほほえんでいるような、そんな椿とマルグリットの運命が重なります。

「椿(椿)」の花言葉は「控えめな素晴らしさ」「気取らない優美さ」。花言葉は、美しくても椿に香りがないことからつけられました。百点満点の完璧な人にはかなわないけれど、「私にはここが欠けている」とわかっている人は自然と控えめにもなりますし、人にも好かれます。花も人間もよく似ていますね。赤い椿の花言葉は「控えめな素晴らしさ」「謙虚な美徳」、白い椿の花言葉は「完全なる美しさ」「至上の愛らしさ」、ピンクの椿の花言葉は「控えめな美」「控えめな愛」とも言われています。

八重のピンクの椿 乙女椿

八重のピンクの椿 乙女椿

寒さも一層増す中で陽だまりのような花をさかせる椿。椿は邪を払う木として、神社や寺、家の境によく植えられています。道すがらに、出会うことができれば何か良いことがありそうですね。

大寒です、この季節はインフルエンザなどの流行もありますので、椿をうまく取り入れ元気に過ごしましょう!

侘助 花は一重で小さく半開状。白・桃・紅色などのものもある

侘助 花は一重で小さく半開状。白・桃・紅色などのものもある

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