
<西武3-2オリックス>◇17日◇ベルーナドーム
身長164センチだけれど、西武滝沢夏央内野手(21)の魅力の1つが「引っ張る」ことだ。
延長10回、オリックス・マチャドが投じた157キロも、直球に絞って、振りまけぬようしっかり引っ張った。一、二塁間を抜けた当たりがサヨナラ打になった。
流し打ちのイメージで見られがちだし、そこを意識した時期もある。でも。
「最近、あえて引っ張るように意識する時もあります」
引っ張れるし、追い込まれてからは粘れるし、相手にすきあらばセーフティーバントも狙う。
「ボールの見え方とか全然悪くないですし、自信を持っていこうと。今日も絶対に負けないように、振り負けないように前で捉える意識で」
白紙スタートの二塁レギュラー争いの、間違いなく先頭に立っている最近の活躍だ。西口監督もたたえる。
「ポジションを守り抜く姿が見えてますよね。誰もが納得してくれてるんじゃないですか。今の『滝沢セカンド』というのは」
この日もサヨナラ打含めての4安打に、二塁でのファインプレーも。滝沢も、初勝利の山田陽翔投手(21)もそう。居場所を自分の力で手に入れた。【金子真仁】
◆滝沢夏央(たきざわ・なつお)2003年(平15)8月13日生まれ、新潟県上越市出身。関根学園では内野手兼投手として1年春から1桁背番号を背負うも、甲子園出場なし。21年育成ドラフト2位で西武入団。22年5月に支配下選手登録された。今季推定年俸1100万円。身長164センチは現役最小兵。体重65キロ。右投げ左打ち。
▼現役最小兵となる身長164センチの西武滝沢がプロ初のサヨナラ安打。164センチ以下の選手がサヨナラ打を放ったのは、74年弘田澄男(ロッテ=163センチ)以来51年ぶり。弘田は74年9月22日の日本ハム戦で通算3本目のサヨナラ安打を打っている。滝沢は21年育成ドラフトで入団。西武の育成ドラフト入団選手がサヨナラ打は、23年6月7日中日戦の長谷川信哉(本塁打)に次いで2人目。