登山好きの皆さまへ、次の夏山シーズンに向け、山への思いを馳せつつ、今一度準備や心構えを確認しておきましょう。今回は、実際に山に登るときにリーダーに気を付けて欲しいことについてご紹介します。
出発時のチェック
まず、メンバーの体調を確認することが大切です。「よく眠れた?」とか「朝食は食べられた?」といったような声をかけてしてください。中には体調がすぐれなくても、「どうしても登りたいから」とか「メンバーに迷惑をかけられないから」と思って、隠そうとする人もいるので、出発前の安全な場所、選択肢が多い(引き返せる、計画変更ができる)場所においてチェックを行うことを心がけてください。
次に、全員で今日の天気の見通しや登山道について話し合ってみましょう。例えば、「昨日は雷がなっていたけど今日はどうだろう?」とか、「下山中の○○沢は増水が怖いね。昨年も事故があったらしいよ」あるいは「熱中症になりそうな暑さだね」などなど。そのような事を出発前にメンバー全員の意識の中に入れておくことで、いざというときに焦らずに対応できます。
アルと便利なアイテムたち
ここではリーダーが携行しておくべきいくつかのアイテムを紹介します。これらを持っていると、必ず役に立つはずです。まず、なんといってもツェルト。薄い布ですが、持っているだけで「生死を分ける」ことにもなります。大きさは手の平サイズ(350ml缶サイズ)なのでザックに入れるのにもためらいはありません。使い方は様々で、風がない樹林帯などでは2人が横になれるテント代わりにも使えますし、稜線などの風が強い場所ではくるまって風を防ぐこともできます。ツェルトを購入したら山に持っていく前に、本体に2~3mの細いスリングを取り付けておくとよいでしょう。
次に、ヘッドランプの予備。最近ではLEDが使われ、小型化・軽量化が進んでいます。かつては、単一乾電池が3個~4個も必要なヘッドランプしかなく、予備の電池を入れるとそれだけでずっしりとザックが重たくなりましたが、最近の製品は電池を入れても重さは100gに届かないものも多くあります。しかし、メンバーの中にはこのヘッドランプを忘れてくる人や、電池が切れてしまう人、故障する人、山小屋で紛失する人などもいるはずです。そのような状況も想定し、予備のヘッドランプを忍ばせておくと、いざという時に頼りがいのあるリーダーをアピールできるでしょう。最後に、穴をあけたペットボトルのキャップ。登山中には、出血を伴う怪我も「起こりうるもの」として想定しておかなければなりません。救急キットの携帯は必須ですが、手当てを行う際には、まず、傷口を水で洗って清潔にする必要があります。このとき、ペットボトルを開けてそのまま傾けると貴重な水が余分に流れてしまうため、穴を開けたペットボトルの口に付け替えて使用することで、水のムダを最小限にすることができます。
リーダーが携帯しておくべきアイテム
・ツェルト
・ヘッドランプの“予備“
・穴をあけたペットボトルキャップ
ここでご紹介した3点は、基本的な装備は持ちつつも、プラスで持っていると役に立つアイテムです。登山を楽しむためにも準備はぬかりなくしたいですね。
※この記事は、平成29年6月に成山堂書店から発刊された「60歳からの夏山の天気」(一般財団法人日本気象協会)をtenki.jpサプリ用に編集して掲載しております。