本格的に冬らしい日が多くなりましたが、外気の冷たさを思うとできるだけ温かい室内で過ごしたいと思いがち。そんな外出が億劫な休日は、家でゆっくり映画鑑賞という過ごし方もよいですね。
実は、明日12月1日は「映画の日」に制定されています。毎月1日に割引を行う映画館が多いことは周知の通りですが、正式な映画の日は12月1日だけなのです。
最近は「映画の日」にちなんだ特別イベントを催す映画館も多いようのですが、日本ではどのように映画が広まっていったのでしょうか?
12月1日は「映画の日」。特別イベントを催す映画館も多いよう
なんとなく決まった「映画の日」!?
日本映画連合会によって「映画の日」が制定されたのは、今から61年前の1956年のこと。意外と日本での映画の歴史はそんなに古くないんだな……という感覚を抱きがちですが、映画自体はもっと昔から日本で放映されてきました。日本で初めて映画が一般公開されたのは、1896年11月25~29日だったといわれています。
ちなみに、1896年に神戸倶楽部という場所で映画が初めて公開されたころは、今のようにスクリーンに映像が映し出されるスタイルではなく、エジソンが開発した「キネトスコープ」とい、箱の中に写る映像を覗き込むというスタイルだったといわれています。箱の中に写る映像を覗き込むなんて、想像すると不思議な光景ですね。
その後、トーマス・エジソンと並び称せられるフランスの映画発明者リュミエール兄弟が、エジソン開発の「キネトスコープ」を改良し、一度に多くの人々が鑑賞できる
「シネマトグラフ」を開発。これをきっかけに現在のようにスクリーンに映像を映し出す方法に変わったといわれています。
撮影で使われる35mmフィルム
映画といえども、映像と音声は別だった?
1896年に初めて公開された映画は外国作品だったのですが、早いものでその翌年には、日本人によってつくられた映画が本邦初公開されます。その作品は写真店で働く浅野四郎なる人物が、機械の試験的に撮った映像でした。初作品のタイトルは『日本橋の鉄道馬車』。タイトルからなんとなく推測できますが、映画の内容は大晦日の日本橋の様子を映し出したものということですから、ドキュメンタリーに近いものだったのかもしれません。
そして、その後も浅野は短編映画をつくり続けます。しかし、当時の映画と現代の映画には決定的な違いがありました。それは「音声」でした。実は当初の映画では、映像と音声は別だったのです。つまり音声は「弁士」と呼ばれる人が舞台上に立ち、スクリーンの映像に合わせて語りを入れたのです。
映像と音声は別……なんて、いまの感覚からすると不思議な気もしますが、日本ではこのスタイルが大人気だったよう。当然、当時の日本ではいまのように様々な娯楽がなかった時代。古い映画でも、多くの人々が劇場に押し寄せ、ストーリーや主人公のセリフに一喜一憂し、ときに笑い、ときに号泣するシーンをよく目にしますよね。
毎月1日は映画館へ!
ご存じの方も多いと思いますが、多くの劇場で毎月1日は映画の鑑賞チケットが安くなります。映画のチケットの代金は通常大人・1800円ですが、1日には当日限定で1800円が1100円になり、700円も値下げに! 映画ファンにとってはうれしい限りですね。
そして、もともと12月1日が「映画の日」だったことから、毎月1日の割引日は「ファーストデー」と呼ばれ、「映画の日」と区別されているのです。
ちなみに、12月1日には各地で映画の日にちなんだトークショーやイベントが開催されるところも多いよう。気になる方は最寄りの劇場のHPをチェックしてみては。
―― 2000年以降はシネマコンプレックスが主流となり、映画館自体の数は減少したというデータもあります。それでも、やはり劇場の大スクリーンで観るワクワク感や驚きは、時代が変わっても色あせないことでしょう。
割引の日は映画を観るチャンス