大みそかは大掃除やお節の準備に追われてヘトヘトの疲労困憊。夕方、やっと片づいて食卓に座り、紅白を見ながらご馳走を食べ、年越しそば…というのが、一般的な大みそか。でも、北海道では12月31日の夜は、なぜか握り寿司を食べます。そして、あろうことか、お節もつまんでしまうのです。寿司とお節。さらには、カニ、刺身、すき焼きなど、贅沢の限りを尽くすような料理が並びます。北海道の大みそかは、他の地域とはちょっと様子が違うようです。
31日の回転寿司店は大忙し。スーパーでは全店員が寿司作りに参加!?
北海道では握り寿司のことを「生寿司」(なまずし)と呼びますが、大みそかは一年で最も生寿司が売れる日です。回転寿司はお持ち帰りのお寿司のみ。しかも、予約していないと買えないことも…。スーパーのお惣菜コーナーも、とにかく寿司、寿司、寿司。普段は野菜や肉コーナーを担当している店員さんも、ほとんどが寿司作りにまわります。しかし、次から次へと買われてしまうので、それでも追いつかないほどお寿司が売れまくります。
大みそかにおせちも食べる。まだ年内なのに…。
大みそかは久しぶりに家族がそろうので、夕食にはご馳走が並ぶという地方が多いのではないでしょうか。すき焼きやしゃぶしゃぶなど、家族でワイワイ鍋を囲むのは楽しいものです。
そんなご馳走に加え、北海道をはじめ東北などでは、なんと、大みそかにはもう、おせちに箸をつけるというのです。これは、新年を迎える準備が大みそかにはすでに始まっている、という捉え方のようです。
お正月のために作ったおせちを大みそかに食べるなんて…。なんとなくピンときませんが、そんな地域は意外と少なくないようです。
魚の飯寿司(いずし)も定番。鮭やキンキを米麹に漬けた発酵食品。
北海道では12月になると、飯寿司という、魚を発酵させたものが出回ります。もちろん、手づくりしている家庭もありますが、今は手軽にスーパーなどで手に入ります。飯寿司を食べるころになると、年末が近いことが感じられます。
飯寿司は鮭をはじめ、キンキ、ホッケ、ハタハタなどの魚を、キャベツ、ニンジン、大根、生姜などの野菜とともに、米麹に漬けて乳酸発酵させるもので、北国のいわば保存食。ただ、それほど長期間漬け込まないので、鮒寿司にように強烈な臭いはなく、“魚の漬け物”のような感じです。大みそかには、生寿司以外にも、この飯寿司もよく食べられています。
今年も残すところ、あと2日。大掃除や買い出し、おせちの準備など、あわただしく過ごしている方も多いのではないでしょうか。今年の冬は気温が低く、北海道では雪と格闘する日々が続いています。いよいよ明日は大みそか。北海道では握り寿司が最も多く消費される日です。街のお寿司屋さんでは今ごろ、準備にてんてこ舞いしていることでしょう。