日本を代表する秋の花といえば「菊」。そして、エディブルフラワーの菊(食用菊)も、ちょうど今の時季が出荷のピークとなります。
食用菊は家庭料理ではなじみが薄いかもしれませんが、いつものメニューにちょっと加えるだけで、見た目も風味もグンとアップ! インスタ映えするおもてなし料理に大変身しますよ。
そこで今日は、この季節にぜひ味わいたい食用菊の豆知識・基本的な使い方や、ちょっとツウなアレンジレシピをご紹介しましょう。
「モッテノホカ」とも呼ばれる食用菊のプレミアム品種「延命楽」
食用菊は観賞用の菊と同じ【キク科・キク属】の植物で、苦みや渋味を抑えつつ、食べる花の部分が大きくなるように品種改良されたものです。
なかでも、風味・食感ともに優れたブランド品種として知られるのが、山形県・新潟県で栽培される紫色の大輪種「延命楽(えんめいらく)」です。ほのかな芳香とともに感じる繊細な甘さとほろ苦さは、まさにプレミアム級の典雅な味わい。一片一片の花びらが筒状に丸まっているため、ゆでても形が崩れず、シャクシャクした心地よい歯応えも楽しめます。
山形県では「モッテノホカ」「もって菊」という愛称で呼ばれていますが、これには「菊の御紋(天皇家の御紋)を食べるのはもってのほか」といったことに由来しているとか……。また、新潟県では「オモイノホカ(思いのほか美味しい)」や「カキノモト」と呼ばれているそうです。
生でも・ゆでてもOK!食用菊を美味しく食べるための基本ポイント
食用菊はアイデア次第でさまざまな料理に使えます。まずは、食用菊の使い方から保存方法まで、基本的なポイントをまとめてご紹介しましょう。
【洗い方】使う前に水を張ったボウルにガクを付けたまま浸し、サッと振り洗いします。洗い終わったら花びらをガクから引き抜き、ペーパータオルなどで軽く水気をとります。
【生で使う】生の花びらは、吸い物や味噌汁、刺身の醤油に散らしたり、パスタやうどんのトッピングにもGOOD。日本酒に浮かべれば、パーティやお祝いの席もいっそう華やぎます。
【ゆで方】1リットルの水に対して酢大さじ1杯を加え、沸騰したら中火にして花びらを入れ、浮いてこないように押さえて手早くゆでます(20秒ぐらいが目安)。全体にしんなりしたら冷水に浸して粗熱をとり、ザルにあげて水気を切ったら、両手にはさんで軽くしぼります。
【ゆでて使う】ゆでた花びらは、酢の物や和え物、お浸しなどに。サラダやナムル、生春巻き、ちらし寿司などのトッピング・具材にもオススメです。
【保存方法】食用菊は鮮度が命。買ってきたらすぐに冷蔵庫の野菜室に入れ、早めに使いきりましょう。冷凍保存する場合は、ゆでた花びらを小分けにしてラップに包み、ジッパー付きの袋に入れて冷凍庫へ。使う時は自然解凍します。
一番のオススメは……サクサクの美味しさがクセになる「天ぷら」!
生でもゆでても美味しい食用菊ですが、じつは「天ぷら(ガクを付けたまま揚げる)」がイチオシの調理法なんです。食通の間では「食用菊の風味は天ぷらにすると一番よくわかる」といわれているとか……。揚げると独特の苦みが和らいで、サクサクとした新感覚の食感も楽しめますよ。ぜひ一度お試しを!
【食用菊の天ぷらの作り方】
◆材料
・食用菊……1パック(7~8輪)
・天ぷら粉(薄力粉)……1カップ
・冷水……1カップ
・ベーキングパウダー……少々
・酢……少々
・薄力粉(まぶし用)……適量
・揚げ油……適量
◆調理の手順
【1】洗って水気をよくきった食用菊(ガクにつけたまま)に、薄力粉(まぶし用)をまんべんなく付け、軽くはたいて余分な粉を落とす。
【2】天ぷら粉・ベーキングパウダー・酢・冷水をボウルに入れ、さっくりと軽く混ぜ合わせる。しっかり混ぜると粘りが出てカラッと揚がらないので、ダマが残る程度でOK。
【3】薄力粉をまぶした食用菊を2のボウルに入れ、花全体に薄く衣をからめる。
【4】中温(170℃)の油に衣を付けた花を入れ(ガクを下にして入れる)、30秒ほど揚げたらひっくり返す。さらに10秒ほど揚げたらひっくり返し、花びらの外側がカリカリになってきたら油から引き上げ、キッチンペーパーの上に置いて油をきる。
【5】揚げたてを自然塩で食べるのがオススメ。