初冬を迎えると、スーパーはもちろんレストランの店頭にも、海の幸として旬の代表格としてお目見えする牡蠣(カキ)。
カキといえば牡蠣フライを思い浮かべますが、濃厚でクリーミーな食感とサクサクの衣のハーモニーは、やみつきになる味わいですね。さらに牡蠣フライの他にもいろいろな料理に活用できる牡蠣は、ご家庭でもぜひこの時季に美味しく食べたい食材です。そして今日11月21日は「カキフライの日」。11月から真牡蠣のシーズンになることに由来し、「2(フ)1(ライ)」にかけられて制定されました。
この記念日に際し、牡蠣について、そして牡蠣フライを作るポイントについてご紹介しましょう!
1日400リットルの海水を吸い込む牡蠣は、豊富な海の栄養を取り込み、美味しく栄養満点の牡蠣に成長する
「海のミルク」と言われる栄養も旨味もたっぷりの牡蠣。18種類以上のアミノ酸、ビタミンA、B1、B2、B12などのビタミンや亜鉛、鉄分、カルシウムなどのミネラル、グリコーゲン、タウリンなどの栄養をバランスよく含んでいます。栄養はもちろん、その味もクリーミーで香り豊か。プリプリの身がしまった牡蠣に出合えると、うれしくなりますよね。
冬に出荷される真牡蠣は、11月〜4月が旬。産地は、広島県や宮城県の三陸が有名です。
真牡蠣はほぼ養殖ですが、人間がエサをあげて育てているわけではありません。牡蠣は、一日に約400リットルもの海水を飲み込んでは吐き出しています。そのとき、牡蠣の栄養源である植物プランクトンを体内に吸収して成長していきます。自然環境が整った場所で育った牡蠣が美味しいと言われるのも納得なのです。
生食用も加熱用も鮮度は同じ。生食用は保健所により決められた摂取海域がある。山の木々も、川も、美味しい牡蠣には大事だった
牡蠣には「生食用」と「加熱用」がありますが、まずこの二つについておさらいしておきましょう。
●「生食用」と「加熱用」の違い
採取された海域による違いで、鮮度は同じです。「生食用」の牡蠣は、保健所により決めたれた摂取海域で獲られたものになります。また、細菌数が50,000/g以下、腸炎ビブリオ最確数100/g以下など、食品衛生法で定められた規格基準をクリアにしたものか、清浄な海水のなかで一定期間断食させ、雑菌を排出させたものになります。
●「生食用」と「加熱用」海域
より具体的に言うと、「生食用」は基本的に沖合で獲れるもので、「加熱用」は沿岸部で育ったものになります。というのも川の水が流れ込む沿岸部の海水は、山の木々が育んだ腐葉土の栄養を豊富に含んでいます。これが植物プランクトンの栄養になり、豊富な牡蠣のエサとなるのです。
こうした豊かな海水をもとに牡蠣はふっくらプリプリに育ちます。ただし「加熱用」は、生活に近いところの海水であるため、ウィルスを取り込む可能性もあるため加熱用とパッケージに表記されています。ツルンとした味わいを楽しみたいなら生食用、牡蠣フライなら加熱用がおすすめです。
身の中心が85〜90℃になってから90秒以上の加熱が大原則。しっかり火を通して、美味しくいただこう!
では、牡蠣フライをつくるときの注意点を紹介しましょう。
■まず、牡蠣を洗うときは身の縮みを防ぐために、海水に近い濃度の塩水(水1リットルに対して塩大さじ2)で洗いましょう。
■塩水を作るのが面倒な場合は、片栗粉大さじ1杯程度を牡蠣にふりかけ、コップ半分ほどの水と一緒に、強くない力で牡蠣をもみます。水洗いするときにわかると思いますが、濁りや黒いカスのようなものが確認できるはずです。これらを取り除くと味がスッキリしますので、調理の最初にきっちり洗うことが大切です。
■よく水洗いしたらキッチンペーパーで水分を丁寧に拭きます(フライにするとき、水分が残っていると油ハネします)。牡蠣のひだひだの部分は特にしっかり拭きましょう。
■次に小麦粉を付け、溶いた卵にくぐらせて、パン粉をつけたら揚げていきます。
揚げていく際、最も気をつけなければならないのは加熱です。加熱については、身の中心が85〜90℃になってから90秒以上の加熱が、食品の基準を作る国際機関でも提唱されています。加熱をしっかりする意味でも、一度揚げてから2〜3分ほど置いてもう一度揚げる、二度揚げがおすすめ。
牡蠣は水分が多いので(食感がジューシーなので)カラッと揚げるのが◎。焦がさないように注意しながら中心までしっかり火を通しましょう。できあがったアツアツを、タルタルソースをかけて食べると最高ですね。
今日は「カキフライの日」。ぜひ、この記念日に美味しいカキフライを食べてくださいね。