春は山菜などの野菜類が美味しい季節ですが、春のじゃがいもは滑らかでみずみずしいと言われています。じゃがいもを使った料理の代表選手・ポテトサラダといえば、日本の食卓の定番メニューの一つ。おかずにも、お酒のおつまみにもなる便利な「ポテサラ」は、居酒屋さんのメニューでも、コンビニのお惣菜でも定番ですよね。
いまや和食のような顔をしている(?)ポテトサラダですが、いったいいつから食べられるようになったのでしょうか?
まもなく初夏、新じゃがの季節。「ポテサラ」の歴史をひも解きます。
日本に、ジャガイモが伝わったのは……?
ポテトサラダになくてはならないもの、といえば何といっても「ジャガイモ」。そのジャガイモが、日本に伝来したのは江戸時代の初期のことです。
出島での交易に従事していたオランダ人が、ジャワ(現在のインドネシア・ジャカルタ)経由でもたらしたといわれます。
当時ジャカルタが「ジャガタラ」と呼ばれていたことから、「ジャガタラの芋」=ジャガイモと呼ばれるようになったという説や、「ジャワの芋」が訛ってジャガイモになった説などがあるようです。
短期間で、世界に広まった! ジャガイモの魅力
伝来した当初は「毒がある」として、もっぱら観賞用に栽培されていたジャガイモ。
食用としてのジャガイモ栽培が本格的に始まったのは、明治時代。いわゆる「北海道開拓」の時代に、アメリカやドイツ、イギリスなどからジャガイモが導入され、大規模に栽培されるようになったのです。
そもそも、ジャガイモは南米が原産。ヨーロッパやアメリカに普及したのも17~18世紀と、さほど古い話ではありません。にもかかわらず、ドイツをはじめ「ジャガイモ料理」が名物となっている国がたくさんあるのが、なんだか不思議に思えます。
ジャガイモが爆発的に普及した理由としては、収穫量が多いこと、寒冷な気候に強いことなどが挙げられますが、なんといっても「美味しい」ことが一番の理由だったのではないでしょうか。さらに、肉や野菜などどんな食材とも「合わせやすい」こと。ボリュームがあって、お腹がいっぱいになること……。こうした理由から、世界じゅうの人びとがジャガイモを愛するようになっていったというわけです。
日本のポテサラのルーツは……?
日本のポテトサラダのルーツは諸説ありますが、有力なのが「オリヴィエ・サラダ」。ロシアをはじめスペインなどでも広く食べられている料理で、その昔ロシアで活躍したベルギー出身のシェフが考案したものといわれています。
ジャガイモ、ゆで卵、グリンピースなどをマヨネーズであえた、具だくさんのサラダと聞くと、確かに日本のポテトサラダにそっくりです。
これらの料理をもとに、明治時代のシェフたちが工夫を重ね、はじめはホテルのレストランなどで高級料理として供されるように。時代が下るとともに、庶民にも普及していったと考えられています。
日本初(?)のポテトサラダのレシピとみられるのが、1896年(明治29年)に刊行された「西洋料理法」に掲載されているもの。「ゆでたジャガイモを薄く切って、レタスの葉を混ぜ、ドレッシングとあえる」……こんなレシピだったそうですが、どんな味がしたのか想像してしまいますね!
そしていまや、「ジャガイモのつぶし方は?」「具材に何を入れる?」「マヨネーズ以外の隠し味は?」……人それぞれ、ポテトサラダの好みは千差万別。バリエーションが豊富だということは、それだけ多くの方に親しまれている料理だということですよね。
手作りにこだわるもよし、スーパーのお惣菜に手を加えるもよし。ジャガイモ、そしてポテトサラダの歴史に思いを馳せつつ、これからも美味しいポテトサラダを楽しんでいきましょう!
参考:本田よう一料理監修「みんな大好きポテトサラダ-50レシピ&ポテサラ通推薦の名店紹介!-」(新星出版社)