日本人の好きなくだものベスト3は、バナナ・リンゴ・ミカンなのだそうです。季節は冬…風邪ひきさんにも喜ばれるリンゴとミカンに対して、バナナは「南国フルーツってお腹が冷えそうだし、わざわざ寒い日に食べたくない」という声も!? ところが近年、アウトドアシーンやモデルさんのダイエット食として「焼きバナナ」が大人気なのをご存じでしょうか。なんと体がポカポカ温まり、美容効果のみならず風邪やインフルエンザ・花粉症の予防にも効果的だというのです。身近すぎて意外に知らなかったバナナのスゴイ実力とは?
バナナはダイエット食品としてほぼ完璧だった!
バナナって、本当に便利…手でポキッつるつるっと剥いてパクッとかじるだけ! 種も薄皮もなく、そのままバッグに放り込んで持ち歩けるし、あかちゃんからお年寄りまで気軽に食べられて、お腹にもたまります。それにしても、種がないのにバナナはどうして作れるのでしょうか?
じつはいま私たちが食べているバナナは、5千年から1万年のはるか昔に生み出された栽培種だったのです。野生種バナナの一部に、種子がなくても果実が育つ性質をもつものがあるよっ!?と発見した昔の人が、そうした系統のバナナだけを受粉・受精させて育ててきた甘くて美味しいバナナ。アレクサンドロス大王が東方に侵略したとき、インダス川の上流ではじめてバナナを見たという記録も残っています。東南アジアから世界に広がり、日本にやってきたのは、台湾からはじめて輸入された明治36年といわれています。
バナナが栄養バランスのとれたスーパーフードであることは、わりとよく知られていますね。ビタミンA・B1・B2・B3(ナイアシン)・B6 ・C・E、カリウム、マグネシウム、葉酸、ポリフェノール等々…バナナには強い抗酸化作用があり、生活習慣病の予防や老化防止にも効果があるとされています。
なかでも冬の体にうれしいのが、豊富な食物繊維。寒い時期は、体の動きが少なくなったり冷えたりするため便秘になりやすく、病院にかかる人が増えるのだそうです。バナナには水溶性と不溶性両方の食物繊維が含まれていて、スムーズな排泄を促し、コレステロールの吸収も抑えます。バナナを食べ続けると腸がきれいになるため、約4週間で見た目ではっきりわかるほど肌の調子が良くなるというデータもあるそうですよ。
でもバナナって甘くて、なんだか太りそう? じつは、100gくらいのバナナ1本は約86kcal。ごはん1杯分(150g)約252kcalの、3分の1くらいのカロリーしかありません。ちなみに食パン1枚(6枚切り)は、約158kcal。バナナは理想的なダイエット食品だったのですね。
朝バナナ夜バナナ焼きバナナ。加熱でさらにパワーアップ!!
朝起きてボーッとしているときにバナナを食べると、あら不思議。みるみる頭がすっきりハッキリしてくるではありませんか(←個人差があります)。また、マラソン選手はじめ多くのスポーツ選手や、過酷な頭脳労働をする人は好んでバナナを食べています。それはなぜなのでしょう?
大脳を働かせるエネルギー源は、ブドウ糖です。ものを食べたとしても、小腸で吸収分解され代謝され、ブドウ糖に変化してくれなければ、大脳で使うことはできないのですね。バナナには、ブドウ糖をはじめ何種類もの糖質が豊富に含まれています。即効性のあるブドウ糖が、すぐに大脳に届いて使われ、それが全部使い切られないうちに果糖やショ糖など他の糖が、つぎつぎと効率良くエネルギー源に変化! ここぞというとき素早くエネルギーが得られるだけではなく、そのエネルギー効果が持続する頼もしい食べ物なのです。
一方、夕食前にバナナを食べると、(空腹が癒されるだけでなく)栄養バランスがとれるうえバナナの整腸作用や脂肪燃焼作用で、健康的に痩せられるといいます。バナナにはセロトニンなど、神経を落ち着かせストレスを和らげる栄養素も豊富なので、ゆったりした安眠にも導いてくれそうですね。
とはいえ。寒い朝の起き抜けにバナナ1本食べるのは、お腹が冷えそうでちょっとツライ。そんな方にもおすすめなのが、「焼きバナナ」です。
バナナを焼くと、かさが減り、糖度が平均20%もアップします。甘くてトロッと食べやすく、一瞬で完食できてしまいます。アツアツを食べればお腹はポカポカ。焼くことで、含まれている糖質のひとつ「フラクトオリゴ糖」が急増し、それをエサにしている善玉腸内細菌「ビフィズス菌」が増え、腸内環境がよくなります。冷えて動きが鈍っていた腸が温まって活発になり、風邪やインフルエンザ、花粉症などに対する免疫機能が高まるといわれています。もともと優れているバナナの働きが、加熱によってさらにパワーアップするのですね。冷え性・便秘・肌荒れに悩む女性や、勉強の疲れや緊張で消化力が弱っている受験生にはとくにおすすめの食べ方です。
焼きバナナのつくりかたは、とってもカンタン♪
・皮つきのまま焼く
オーブントースターにポンと入れるだけ。皮が真っ黒になったら裏返して、両面焼きます。黒光りする皮をナイフでスーッと開くと、白いトロトロの果肉が出現! 冷めても栄養は変わらないので、あえてアイスクリームなどと混ぜてデザート風に食べる人もいます。
アルミホイルにぴったりと包んで、フライパンやグリル、バーベキューの網などで焼いてもOKです。
・皮をむいてから焼く
まるごとでも、一口大に切っても。串焼きかフライパンで焼きます。また(「焼き」ではありませんが)電子レンジで1分間加熱しても大丈夫です。
オリーブオイルやココナッツオイルを加えるのが、モデルさんたちに人気の食べ方。お好みで甘みや、シナモンパウダー、ジンジャーパウダー、ココア、ピーナッツバターなどの風味をプラスすると、飽きずに毎日続けられそうですね。パンケーキやトーストのトッピングとしてもおすすめです。
冬はフルーツを焼いて食べましょう◎
冬の定番デザート「焼きリンゴ」。寺社で風邪封じに配られたりする「焼きミカン」。たいていのフルーツは、焼くことで柔らかく食べられる部分が増え、水分が抜けたぶん栄養が凝縮したり甘みが増すなど、バージョンアップするようです。水分を約5分の1にとばしたバナナを生バナナと栄養比較すると、全ての栄養成分において「乾燥」バナナがはるかに上回っていたというデータもあります。
食欲のない朝でもスルリとのどを通るあったか〜い焼きバナナなら、一日を元気に始められそうですね。ウイルスや花粉、そして冬太りの撃退にも、温める腸活をぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
<参考文献・サイト>
『老いない腸をつくる』松生恒夫(平凡社)
『「焼き」くだもので10歳若返る』村上光太郎(祥伝社)
『日本バナナ輸入組合ホームページ』