動きが遅い台風10号は、今日30日(金)15時の段階でもまだ四国と九州の間(愛媛県松山市の西約40km)に中心があると見られ、長い期間にわたって日本列島に大雨をもたらしています。台風10号は、明後日1日(日)15時までに熱帯低気圧に変わる見込みですが、台風から熱帯低気圧に変わっても大雨は続き、大規模な災害に繋がる恐れがあります。引き続き土砂災害、川の増水や氾濫、浸水などに厳重な警戒が必要です。
●動きが遅い台風10号 広範囲に大雨をもたらす
台風10号は動きが遅く、影響が長期化しています。台風がまだ南の海上にある段階でも、栃木県、岩手県と線状降水帯の発生した所がありました。
台風本体の雨雲が九州に広がった一昨日28日(水)、昨日29日(木)は、相次いで九州に線状降水帯がかかりました。今日30日(金)になってもまだ台風本体の雨雲が広がり続け、九州では26日(月)からの雨量が900ミリを超えている所があります。
26日(月)0時から30日(金)15時までの降水量
宮崎県 えびの市えびの高原 913.0ミリ
また、昨夜には台風から少し離れた徳島県、香川県、兵庫県で線状降水帯の発生がありました。
台風周辺だけでなく、台風から離れた地域でも非常に湿った空気が流れ込み、局地的に雨雲が発達しやすい状態が続いています。
●東にある太平洋高気圧 台風の行く手を阻む
現在、台風10号は西日本付近を東寄りに進んでいますが、進む速度は自転車並みかそれ以下と、なかなかスピードが上がりません。現在、台風をスピードアップさせる偏西風は北海道より北にある状況で、台風を流す風がかなり弱い状態です。また、日本の東にある太平洋高気圧の勢力が強く、これも台風が東に進むのを妨げています。こうした状態は、少なくとも明日31日(土)から明後日1日(日)にかけても続く見込みです。台風10号、または台風から変わった熱帯低気圧が西日本から東日本付近に長く居座るおそれがあります。
●「熱帯低気圧に変わる」は決して「災害の可能性が小さくなる」わけではない
この土日、台風10号は近畿、東海付近で動きが遅くなる、または西に戻るような動きをする予想もあり、特に発達した雨雲がかかりやすい近畿や東海地方を中心に総雨量がかなり多くなりそうです。
台風10号は明後日1日(日)までに熱帯低気圧に変わる見込みですが、これは風が弱まり、最大風速がおよそ17m/s(34kt)以上という、台風の風の強さの定義に当てはまらなくなるだけ。台風が持ち込んできた非常に湿った空気は日本列島に残り、大雨となりやすい状態が続きます。
「台風が熱帯低気圧に変わる」=「災害の可能性が小さくなる」というわけではありません。大規模な災害に繋がるような大雨となる所が出てくる恐れもあります。特に大雨に対しては、警戒を続けるようにしてください。
●台風の大雨 洪水から避難する時に 注意すべきこと
今後も台風10号による大雨の影響は続く見込みです。雨量が多くなると浸水や河川氾濫のリスクが高まりますが、もし周囲の土地が水に浸かってしまった場合、避難する時の注意点が4つあります。
①正確な情報収集を心掛け、危険を感じたら、できるだけ早く避難しましょう。情報収集は、テレビやラジオ、インターネットなどを使い、川や用水路などを実際に見に行くのは絶対に止めてください。
②動きやすい恰好を心掛けましょう。荷物はリュックに入れて、両手を使えるようにしてください。靴は、長靴よりも、紐付きの運動靴の方が、おススメです。
③氾濫した水の流れは、思ったよりも、勢いが強いものです。水の深さが膝くらいまであると、大人でも歩くのが困難になります。水の中を歩くのが困難な場合は、頑丈な建物の上の階に避難するのも、身を守る方法の一つです。
④氾濫した水は、濁っているので、足元が見えにくくなります。側溝などに落ちないよう、棒で足下を確認しながら、移動してください。