平地では異例ともいえる厳しい残暑が続く中、北海道や日本アルプスの山岳ではすでに山岳紅葉が始まっており、秋の気配を堪能することができるようです。一方で、シルバーウィーク中に秋雨前線が南下して季節が前進します。夏山と同じ感覚で山に入ると想像以上に気温が下がっている可能性があるので、必要な防寒グッズを用意してください。
●平年より遅いと思いきや山岳紅葉はすでにスタート
日本気象協会は今月12日「第1回紅葉見頃予想」を発表し、長引く残暑の影響で各名所の紅葉シーズンの到来は平年より遅くなると見込んでいます。山岳も気温が平年より高い状態が続き、とくに冷え込みが弱かったことから紅葉の進みは平年に比べて遅れる可能性がありましたが、今週の冷え込みで一部で色づきが進み、山岳紅葉が始まったところがあります。北アルプス立山では平年より10日ほど早く草紅葉が進み、すでに華やかな秋山の雰囲気となってきています。また北海道の大雪山系旭岳では、ナナカマドを中心に色づきが平年に比べると1週間ほど遅れているものの、草紅葉は始まっているということです。
後ほど詳しく触れますが、シルバーウィーク後半には秋雨前線が南下してぐっと冷え込む日が出てくると予想されることから、色づきが一層進む可能性があります。平年より遅いだろうと高をくくっていると見頃を逃すおそれがあるので注意をしてください。
●シルバーウィーク中に秋雨前線が南下
あす(16日)からの3連休、そしてシルバーウィーク後半にかけての天気の傾向を確認します。日本列島に秋雨前線がかかっていますので、前線の動きをイメージすると天気の変化を追いやすいでしょう。
まず、あす(16日)からの3連休は、夏の太平洋高気圧が再び勢力を盛り返し、秋雨前線を東北、北海道へと北上させる見通しです。関東から九州南部では晴れて蒸し暑くなるところが多い一方で、秋雨前線に近い九州北部や東北は雲が広がりやすく、雨が降るエリアもある見通しです。北海道にも次第に前線がかかり18日ごろは雨が強まるでしょう。また、夏の天気が続く関東山地や中部山岳も夕立の可能性があるので注意してください。
一方、来週中ごろ以降は大陸から秋の移動性高気圧が進んできて秋雨前線を南下させる見通しです。20日ごろに前線が本州の南にまで下がり、広い範囲で季節を進める雨を降らせた後、標高1500mで10℃前後の空気が日本アルプスまで流れ込んでくる可能性があります。北海道では高度3000mで0℃という寒気も流れ込むようになり、シルバーウィーク後半にかけて持続する見通しです。20日ごろは風雨が強まる可能性があるので低体温症に警戒し、21日以降天気が回復した後も冷え込みが強まるようになるため入念な寒さ対策が必要でしょう。
●大雪山では雪や氷の便りがあってもおかしくない
北海道では、シルバーウィーク後半には高度3000mで0℃前後の寒気が流れ込む見通しなので、最高峰の大雪山系旭岳をはじめとして標高が高い山で初氷、あるいは初冠雪の便りがあるかもしれません。現在気象庁が北海道で初冠雪を観測している山は利尻山、旭岳、斜里岳、雌阿寒岳、手稲山です。このうち利尻山と旭岳では降水のタイミングによっては初冠雪の可能性がありそうです。初冠雪日本一を旭岳と争うことが多い富士山には来週も高度3000m0℃以下の寒気はかからず、まだ当分は初冠雪の機会はない見通しです。