北アメリカでは、クリスマス頃、冬の嵐になり、記録的な寒さになりました。年明けにかけては、ニューヨーク州など東側の地域は高温傾向でしょう。日本では、年明けに再び寒波が襲来する見込みです。
●クリスマス頃 寒気が北アメリカと日本に流れ込んだ
北極の寒気が、通常、最も流れ込みやすいのは東シベリア付近で、次いで北アメリカ付近です。
上の図は、今年のクリスマス頃の12月21日から25日、旅客機が飛行する上空10000メートル付近の高度です。
北極付近は平年より高度が高いオレンジのエリアになっています。北極の寒気は、高度が低い方へと流れ出します。一方、北アメリカ付近は、平年より高度が低い青いエリアになっています。このため、北極の寒気は、高度が低い北アメリカへの流れ込みが顕著になりました。
東シベリアは、通常は寒気が流れ込みやすいのですが、今年のクリスマス頃は、高度が高いオレンジのエリアになっています。北極から東シベリアに流れ込んでいた寒気は、高度が低い日本付近に押し出されました。
●北アメリカ クリスマス頃は冬の嵐で記録的な寒さになった
北アメリカでは、12月22日頃から、ロッキー山脈の東側に沿って強い寒気が流れ込みました。
上空1500メートル付近でマイナス5℃以下の寒気が、亜熱帯のフロリダ北部付近にかかるほどでした。冷たい気団と暖かい気団がぶつかり、五大湖付近で低気圧が急速に発達、低気圧の中心気圧は23日(日本時間9時)で1004hPaだったのが、12時間後には980hPaと24hPa下がりました。さらに24日(日本時間21時)には964hPaになりました。いわゆる爆弾低気圧です。
上空5500メートル付近では、マイナス35℃以下の寒気が、五大湖周辺に流れ込みました。
ワイオミング州東部の都市キャスパーでは、現地時間22日に、最低気温マイナス42℉(約マイナス41℃)を観測し、記録が残る1939年以降、最も低くなりました。
ニューヨーク州西部の都市バッファローでは、積雪の深さが、現地時間25日には27インチ(約66センチ)を観測しました。
北アメリカでは、クリスマスの冬の嵐で、停電や空の便の欠航が発生したばかりか、少なくとも60人以上が死亡したとのことです。
参照:NOAAホームページ
https://oceanservice.noaa.gov/facts/bombogenesis.html
●日本 クリスマス寒波 西日本の市街地でも記録的な大雪
日本では、12月22日から、冬型の気圧配置が強まり、西回りで強い寒気が流れ込みました。寒気のピークは23日で、上空1500メートル付近で、平地で降水があると雪の目安になるマイナス6℃以下の寒気が、九州の南まで流れ込みました。上空5500メートル付近では、平地で大雪の目安になるマイナス36℃以下の寒気が、北陸や東北付近に流れ込みました。寒気の影響は、26日まで続きました。
22日から26日のクリスマス寒波では、雪雲が、日本海だけでなく、東シナ海でも発達し、北海道や本州、九州に次々に流れ込みました。市街地でも記録的な大雪になったことが特徴です。
12時間降雪量の期間最大値は、山形市39センチで、統計開始の1998年以降1位の値を更新しました。
寒気は西回りで流れ込んだため、雪雲が、対馬海峡から周防灘に流れ込み、四国にもかかりました。6時間降雪量の期間最大値は、高知市14センチ、徳島市8センチで、いずれも統計開始以降1位の値を更新しました(統計開始は徳島市2013年、高知市2012年)。
大雪により、電柱などが倒れて道路をふさいだり、停電が発生するなど、大きな影響が出ました。
●北アメリカ 年明けにかけてニューヨーク州など高温傾向に
年明けは、北アメリカの東側への顕著な寒気の流れ込みはないでしょう。北極の寒気が流れ込みやすくなるのは、北アメリカでは西側になります。
北アメリカでは、冬の嵐が過ぎ、南風が吹いて、比較的暖かい空気に覆われている地域があります。冬の嵐で、記録的に低い気温を観測したワイオミング州東部の都市キャスパーでは、27日の最低気温は37℉(約3℃)でした。
北アメリカでは、年明けにかけて、南風が吹きやすいでしょう。
Noaaによると、12月30日から1月3日にかけて5日間の平均の最高気温は、都市バッファローがあるニューヨーク州を含む北アメリカの東側の地域では、平年よりかなり高くなる見込みです。一方、ワイオミング州など西側の地域では、平年並みか平年より低くなる予想です。
●日本 年明け再び寒波 影響は北日本が中心 降雪量かなり多くなる可能性
年明けは、北極の寒気は、東シベリアにも流れ出すでしょう。
日本では、1月1日頃から北日本を中心に冬型の気圧配置になり、東シベリアから強い寒気が流れ込む見込みです。
クリスマス寒波と違う点は、寒気は西回りではなく、北から流れ込むことです。寒気の影響は北日本が中心でしょう。
今のところの資料では、上空5500メートル付近で、平地で大雪の目安になるマイナス36℃以下が、周期的に東北北部付近まで流れ込むでしょう。上空1500メートル付近では、4日頃をピークに、平地で降水があると雪の目安になるマイナス6℃以下の寒気が、本州の南まで流れ込む見込みです。寒気の影響は、少なくとも5日頃まで続く予想です。
日本海で発達した雪雲が、北海道や本州に流れ込むでしょう。北海道や東北の日本海側、北陸では、荒れた天気になり、大雪になる恐れがあります。北海道や東北の日本海側では大荒れの恐れもあります。北陸付近でも、雪雲が同じ場所にかかり続けるなど、地域によっては数日間にわたって断続的に雪が降り、積雪が増える可能性もあります。年始のお出かけやUターンの交通への影響などに注意が必要です。
関東など冬晴れになる地域も、4日頃を中心に寒さが厳しくなるでしょう。