
<慶大1-0西武3軍>◇3日◇練習試合◇旭川スタルヒン球場
西武の杉山遥希投手(19)はいつものマウンドよりほんの少しだけ「そこは…そうですね」と意識するものがあったようだ。
相手は慶大だ。横浜高出身の左腕は、2年前の夏、慶応高に神奈川大会決勝で敗れた。最終回に逆転された。
「丸田、渡辺憩に、延末とかもいますね。対戦することがあれば…」
相手ベンチにいる、当時の慶応高メンバーの名前はやっぱり意識する。自分たちに勝った彼らはそのまま、夏の甲子園も制した。
杉山はドラフト3位で西武に入団した。今季はイースタン・リーグで開幕投手を任された。しかし失点がかさんだ。2軍で投げたり3軍で投げたり。
この8月はまず上田大河投手(23)らとともに、約2週間の3軍夏合宿のメンバーになった。コーチ陣の推薦だ。その目的は出力アップにある。
この日は中継ぎで2イニングを投げた。直球と同じ腕の振りのスライダーで慶大打線を崩し、無失点投球。直球は140キロ少々。145キロも1球あった。慶応高メンバーが打席に立っての“再戦”はなかった。
キレ味と制球力が光った高校時代。「ただやっぱり、常時で145キロくらいは出るようにならないと」と、プロ野球のレベルの高さを感じている。まず平均球速を高めて、そこから高校時代のテクニックを合致させていく。今はそんな道筋の上にいる。
高校3年生の時に1年生だった後輩たちが、甲子園を決めた。この日はちょうど組み合わせ抽選会。「(初戦は敦賀)気比か…」とつぶやいた。
横浜のエース、奥村頼人投手(3年)は同じ左腕としても一目置いてきた後輩だ。「1年生の時からいい感じでしたけど、3年間でぐっと成長しましたね。バッティングもすごいし」とうれしそう。負けていられない。【金子真仁】