
日本高野連は1日、大阪市内で令和7年度第4回理事会を開催し、来春の公式戦から指名打者(DH)制を採用すると発表した。
理事会では全会一致で賛成。出場機会の創出、投手の健康対策の推進などメリットの大きさを踏まえて、今回の決定に至った。全国レベルでは春の第98回選抜高校野球大会から実施される。
井本亘事務局長は「1人でも多くの部員が試合に出る機会が創出される。それが一番大きい。いろんな個性を伸ばして多様化の時代。打撃が得意な選手がいて、試合に出るところにつながるんじゃないか」と効果を期待。来春からの実施となった点については「ルール変更はシーズン途中ではなく、新しいシーズンから採用したほうが混乱も少ない」と説明した。
昨年12月に設置された「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」では7回制も議論してきた。「いろんな議論をしながら慎重に進めないといけない。DH制が先に結論に至った」と話した。
国内のアマ野球界では社会人野球のほか、大学リーグでも東京6大学と関西学生が来春から導入。全日本大学野球連盟に加盟する全27連盟で導入することになっている。国際大会やメジャーリーグ、パ・リーグも導入しており、高校野球以上のカテゴリーで、残すはセ・リーグのみとなった。
▽東洋大姫路・岡田龍生監督「負担を軽くするにはありがたい。ピッチャーにDHを使うとなれば、(投手は)全然楽やと思います。(打線に)切れ目がなくなるので変わるでしょうね」
▽広陵・中井哲之監督「変革というか、野球がすべて変わっていこうとしている中で、一チームの監督がああだこうだということじゃないと思う。いい方向に高校野球が進んでいくのであれば、それに従うことが教育者だと思う」
▽京都国際・小牧憲継監督「英断。本当に素晴らしい取り組みだと思う。投げれなくても試合に出られるチャンスをもらえる。野球人口にも関わってくる問題じゃないかなと思います。1人でも出場機会をもらえる選手が増えるのは、指導者からするとありがたい」
【高校野球の主な改革・負担軽減策】
◆甲子園出場選手の肩、肘検査が始まる(93年夏)
◆延長戦は15回で打ち切り、引き分け再試合に(00年春)
◆準々決勝翌日に休養日設定(13年夏)
◆タイブレーク制採用。当初は延長13回から開始。23年以降は10回から(18年春)
◆準決勝翌日にも休養日設定(19年夏)
◆投手に1週間500球の球数制限(20年春)
◆白色スパイクの使用可(20年春)
◆夏の3回戦2日目翌日にも休養日設定(21年夏)
◆継続試合採用(22年春)
◆ベンチ入り18人から20人に拡大(23年夏)
◆5回終了時にクーリングタイム新設(23年夏)
◆投手の負担軽減などを目的に低反発バット移行(24年春)
◆夏の一部日程で午前と夕方に分ける2分制採用(24年夏)
◆開会式午後4時から。ノック時間を7分→5分に短縮し、希望すれば行わないことも可能(25年夏)