
<DeNA14-1ヤクルト>◇31日◇横浜
DeNA牧秀悟内野手(27)の一振りが、眠っていた打線に火を付けた。1回の16号先制3ラン。2回には右翼へ二塁打を放ち、球団2人目、NPBでは阪神佐藤輝以来18人目の新人から5年連続での「100安打&2ケタ本塁打」を達成した。勢いづいたチームは、今季最多タイの1試合4本塁打。直近5試合でわずか計4得点だった打線がつながり、16年以来9年ぶりの21安打、今季最多14得点で快勝し、チームは連敗を4でストップした。
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閉塞(へいそく)感を打ち破ったのは、主将のバットだった。牧が湿った打線を爆発させた。1回1死二、三塁、ヤクルトのドラフト1位右腕・中村優を2ボールから仕留めた。128キロのスライダーを左翼席へ。5試合ぶりの先制点をもたらし「チャンスでなかなか打ててなかったので、打てて良かった。いいきっかけになれば」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
主砲としてもどかしかった。今季最も長い51打席もの期間、打点から遠ざかった。「4番に座ってる以上、ふがいない日々を過ごしてました」。足並みをそろえるように打線も湿った。試合前時点の直近5試合でわずか計4得点。チームと自身の状況を打破すべく、構えを試行錯誤した。一時は代名詞だったオープンスタンスを封印して、両足平行に構えるスクエアスタンスにし、模索してきた。
もがいた努力のかいあってか、2回2死には右中間への二塁打。自身の調子のバロメーターでもある逆方向の長打で今季100安打目をマークした。球団2人目、NPBでは阪神佐藤輝以来18人目の新人から5年連続での「100安打&2ケタ本塁打」を達成。「昨日くらいからいい当たりが増えてきている」と良い兆候は増えつつある。
4番の一振りで6試合ぶりの複数得点をゲットすると、打線は栓が抜かれたように爆発した。16年以来9年ぶりの21安打で今季最多14得点、同最多タイの1試合4本塁打と打ちまくった。連敗も4で止め、牧は力強く宣言した。
「結果がついてこない、ミスが多いところは全員が責任を感じていると思う。それをなくせばベイスターズの良さが出て、これだけ打って点が取れる。そういう野球をあと2カ月あるのでやっていければ」
月も変わって大逆襲の8月へ。沈んだ分だけ、高く飛び上がる。【小早川宗一郎】
▼牧が本塁打を含む3安打。これで今季の安打数は101安打となり、新人から5年続けて100安打と2桁本塁打をクリアした。プロ1年目から5年連続で100安打以上と2桁本塁打を記録するのは今年の佐藤輝(阪神)以来18人目。DeNAでは59~67年桑田に次いで2人目となる。