
<高校野球栃木大会:青藍泰斗4-3作新学院>◇27日◇決勝◇エイジェックスタジアム
青藍泰斗が名門・作新学院を延長10回タイブレークの末に4-3で破り、90年以来35年ぶりの甲子園切符を手にした。1年秋から主将を務める佐川秀真遊撃手(3年)が、1点を追う8回に同点適時二塁打を放ち、4-3の10回裏無死満塁の守りでは、遊ゴロ併殺を決めてピンチをしのぐなど勝利へけん引した。
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最後の打者を一ゴロに打ち取ると、青藍泰斗ナインがマウンドに駆け寄り、帽子を高く投げ上げて喜びを爆発させた。就任2年目の青山尚緯監督(27)はナインらの手で3度、宙に舞った。
1年秋から主将を務める佐川は「ここまでの2年半、ずっとこの日のためにやってきた。青山監督を信じて、チームを信じてやってきた結果が出て本当にうれしい」と仲間と抱き合った。1点を追う8回1死二塁から放った、左越えの同点打が流れを変えた。「絶対に1本打つと決めていた。打った瞬間、抜けると確信した」。2点を勝ち越した直後の延長10回裏の守備では、1点を返され、なおも無死満塁のピンチで、マウンド上のエース永井に「最後まで自分を信じて投げろ」と声をかけた。外角直球で狙い通りの遊ゴロに打ち取ると、自ら遊-捕-一の併殺で切り抜け、勝利を引き寄せた。
「辛いことばかりだったけれど、副主将や家族、応援してくれる人がいたからこそ続けられた。人間的にも大きく成長できた」。今春の県大会で準々決勝で敗退後は、生活習慣の改善を掲げ、寮でのごみ拾いを率先した。「誰かがやるのを待つのではなく、自分から気づいて動く」ことを徹底。ごみ拾いを徹底しているドジャース大谷の姿勢を見習うことで、チームの団結力が生まれた。
青山監督は「昨年までは勝負弱かったが、最後はここぞで結果を出す選手になった」と佐川を頼もしげに見つめた。35年ぶりの甲子園へ-。佐川は「ここがゴールじゃない。甲子園でもしっかり勝ちたい」と力を込めた。【鳥谷越直子】