
<高校野球西東京大会:東海大菅生5-0国士舘>◇27日◇準決勝◇神宮
仲間の援護を信じ、スコアボードに「0」を並べてこそ、チームのエースだ。
東海大菅生の左腕・上原慎之輔投手(3年)が2試合連続先発し、7回87球、3安打無失点、4四球と好投。2投手0封リレーにつなげ、5試合36イニング連続無失点をマークした。
マウンドに立つ前、バックスクリーン方向を向き、目を閉じ、呼吸を整えた。
4回まで4四球と「ちょっと投げ急いだ部分があった」。それでも、外角直球でカウントを稼ぎ、「目を覚ませ」と念じ続けた。元中日のレジェンド左腕・山本昌広氏の動画を参考に覚えたというスクリューボールで打者を手玉に取ると、徐々にペースをつかんだ。
「心は熱く、頭は冷静に」-。帽子にそう刻んだ言葉を日々言い聞かせる。
5回以降は鹿倉隆志捕手(2年)と「野手が守ってくれるので、打たせる投球で」テンポよく腕を振り、わずか1安打。3点リードの7回2死一塁、カウント3-1からはチェンジアップを引っかけさせ、遊ゴロに打ち取り、2番手の藤平寛己投手兼外野手(3年)にマウンドを託した。
24日の佼成学園との準々決勝でも7回1安打。中2日の先発マウンドを任されても、主戦左腕に疲れの表情はない。体のケアを徹底し、試合前日はブルペンで20球程度投げ、フォームを確認してきたという。
4回まで援護がなくても、ひょうひょうと無失点投球を続ける上原の姿には、若林弘泰監督(59)も「投手が0点に抑えれば負けることはない」とうなずく。
鉄壁の防御で挑むのは、「強打の三高」こと、日大三だ。夏の決勝対決は2戦全敗だが、過去の記録は関係ない。「ここまで来たら、技術ではなく気持ちだと思う。自分はエースとして腕を振るだけ」と上原。4年ぶりの甲子園切符をその左手でつかみに行く。【泉光太郎】