
<高校野球西東京大会:東海大菅生5-0国士舘>◇27日◇準決勝◇神宮
左腕1本でシード校を食ってきた。国士舘のエース鎌村曜平投手(3年)は全6試合に登板し2完投含む大車輪の活躍も、この日は7回1/3 5失点(自責3)で力尽きた。「ブルペンの時から変化球が入らなかった」。準々決勝で球数は520球に膨らみ、疲労は限界に達していた。
それでも、最速138キロの直球を中心に打者の内角を攻め、2回は3者連続三振を奪う気迫を見せた。しかし、5回2死一、二塁、相手3番に痛恨の先制右前適時打を許した。3点ビハインドの8回1死二塁からは2連打を浴びて2失点。「(相手が)いい打者で慎重になってしまい、四球も多くなってしまった」。6四死球と制球力も定まらなかった。
春季東京大会は「投げきれなかった」と3回戦敗退。ノーシードからの雪辱を誓い、追い求めたのは絶対的な安定力。試合のない日もブルペンに入り、100球を投げ込めば、終わった後は30メートルターンダッシュを繰り返して、底なしのスタミナを蓄えてきた。
初戦を1失点完投すると、左腕は瞬く間に輝いた。国学院久我山戦は延長10回1失点、日大鶴ケ丘戦も先発と救援の2登板をこなした。前回覇者の早実との準々決勝では中盤から好救援し逆転勝ちを呼び込んだ。
大会期間中のオフも走り込むなど、ぎりぎりの調整をしてきた絶対的エース。重圧から解き放たれたかのようにあふれる涙を拭い、「こんなに投げることはなかったけど、そういう部分でも成長できた」と胸を張った。真夏の快進撃を支えた647球の記憶は決して色あせない。【泉光太郎】