
<高校野球埼玉大会:叡明12-8山村学園>◇25日◇準決勝◇大宮公園野球場
兄の姿を見て憧れた「山村学園らしさ」を横田蒼和主将(3年)は最後まで体現した。
大型遊撃手としてプロの注目を集める横田は、準々決勝に続き「3番ピッチャー」で出場した。11回を完投し、13安打12失点。169球の力投も、6年ぶりの決勝進出はかなわなかった。
6年前、花咲徳栄との決勝戦に兄修大さん(24)が「2番ショート」として出場。当時、小学6年生だった横田はスタンドで観戦していた。2-11で敗れ、涙する兄を見て「借りを返そう」と、山村学園へ進学した。
4点ビハインドで迎えた延長11回1死一、二塁。横田は、一塁に渾身(こんしん)のヘッドスライディングも、三ゴロ併殺打に倒れ、最後の夏を終えた。
「点を取られても諦めない。勝ちを信じて、最後までやる」。9回に2点差を追いつき、延長タイブレークに持ち込むなど、横田の思う「山村学園らしさ」が発揮された一戦だった。
兄の背中を追いかけた少年が、チームを率いる頼もしい主将に成長した。「みんなが応援してくれる中での野球は当たり前のことではない」。3年間の感謝を胸に、次のステージでの飛躍を誓った。【山本佳央】