
<全国高校野球青森大会:弘前学院聖愛6-5八戸学院光星>◇24日◇決勝◇はるか夢球場
一丸で底力をみせた。弘前学院聖愛が八戸学院光星を6-5で下し、4年ぶり3度目の夏の甲子園出場を決めた。2点を追う9回に同点に追いつくと、一戸淳弥外野手(3年)の2点中前適時打で勝ち越しに成功。土壇場で一挙5点を挙げる逆転劇をみせた。
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1年前を超える景色が見えた。勝負が決すると、弘前学院聖愛ナインはマウンドに駆け寄り、人さし指を空に掲げた。
執念の逆転劇だ。2点を追う9回前、ベンチでは「とにかくつないでいくぞ。試合はここからだぞ」と、誰からともなく声が飛んだ。2死から適時打2本で追いつき、なお二、三塁で一戸。「絶対打ってやるって心臓が飛び出るくらいドキドキで…ただ菅野が同点タイムリーを打ってくれたから気楽になりました」。八戸学院光星・及川の外角直球を中前にはじき返し2点を勝ち越した。「うれしくて飛び跳ねました」。晴れやかな表情を浮かべた。
昨夏は同じ決勝の舞台で青森山田に敗戦。スタンドから声援を送っていた一戸は「去年の負けから、チーム全体が甲子園に向けてひとつになっていきました」と振り返る。練習中からお互いに叱咤(しった)し高め合い、自身も「誰よりも練習する覚悟で」バットを振り続けた。つかんだ背番号「19」に「ベンチには入れない3年生や仲間の分まで」と思いを込めてプレーした。今大会中も原田一範監督(47)からの「ひとつ勝ち上がるごとに1カ月分の成長がある」という言葉を胸に結果で示してきた。
原田監督は「苦しい試合でした。最後あの場面からよくつないだっていう、彼らの精神力、人間力に感動してます」と感極まった。念願の聖地へ-。「勝負強いバッティングをしていきたい」と一戸。甲子園では過去3回戦が最高成績。先輩たちが作った歴史を塗り替えるため、まだまだ進化を続ける。【高橋香奈】