
<高校野球宮城大会:仙台育英8-1仙台一>◇24日◇準決勝◇石巻市民球場
宮城の決勝カードが決まった。仙台育英が仙台一に7回コールド勝ちし、4年連続の決勝進出。土屋璃空(りく)外野手(3年)が先制2ラン含む2安打を放った。チームは本塁打2本が飛び出し、計9安打8得点を挙げた。
ノーシードの東北学院榴ケ岡は第3シード東陵に逆転勝ちし、33年ぶりの決勝を決めた。決勝は28日午後3時、楽天モバイルパークで行われる。
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初回から快音が鳴り響いた。1死二塁で仙台育英の土屋が先制2ランを右翼席にたたき込んだ。「先制点を取った試合は主導権を握れて、いい勝負ができると感じていたので『なんとしても』という思いでした」。普段は5番に座るが、この日は3番。相手投手の分析を踏まえ、上位打線に左打者を並べたことが功を奏した。
「7月23日」は昨夏決勝で敗れた日。土屋は「野球をやる上で一番大切な日です」と話す。聖和学園に敗れ、甲子園には届かなかった。しかも、ラストバッターで左飛に終わった。激闘を振り返る映像には決まって自分の姿があった。「打ち上げてしまった映像を何度も目にして、その度にとにかく悔しくて」。決勝の地となった楽天モバイルパークに行けば、決まってあの光景がよみがえり、涙を流す先輩らの顔を思い出した。
土屋は2年生ながら背番号「7」をつけ、スタメン出場していた。「頑張ってきた3年生もいる中で出場させてもらったのに、何もできなかった」と何度も悔やんだ。それでも、先輩らは「来年はお前が引っ張っていけ」と抱きしめてくれた。
その言葉を胸に刻み、ひたすら甲子園を目指して走ってきた。前日23日には「あれから1年」と野球ノートに記していた。この日は決勝へ導く1発。「昨年の借りを返すためにも、自分が甲子園を決める気持ちでいます」。舞台は整った。苦い思い出を塗り替えるべく、リベンジの地へと乗り込む。【木村有優】