
ソフトバンク川瀬晃内野手(27)が日刊スポーツの単独取材に応じ、前半戦でチームを波に乗せた劇的打を振り返った。5連敗で迎えた5月2日の本拠地ロッテ戦で、1-3の9回裏2死走者なしからサヨナラ打を放った。小久保裕紀監督(53)もターニングポイントに挙げた試合。日刊スポーツソフトバンク担当の公式Xで募集した前半戦「記憶に残る一戦」でも断トツの票数を獲得した。
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小久保監督が「分岐点といえばあの試合」とターニングポイントにあげたのが5月2日のロッテ戦だった。1-3の9回裏2死から中村、柳町が連打。牧原大が1点差に迫る適時打を放ち、なお2死満塁で代打川瀬がコールされた。
川瀬 あの時点で僕の打率は2割ちょっとしかなかった。スタメンの機会も少なくて、やっぱりいろんなもどかしさがあった。むしゃくしゃしていた時期だったと思います。
打率は2割1分7厘。悔しさをバネにロッテ益田の直球を左中間にはじき返した。「バッティングもうまくいかない時だったけど、すごく自信になった1打席でしたね」。2点タイムリーで劇的勝利。「あと1人」から打線が驚異の粘りを見せ、最後は川瀬がドラマを締めた。日刊スポーツソフトバンク担当の公式Xで募った前半戦の「記憶に残る一戦」でも断トツ86票。タカ党も忘れられないサヨナラ勝利だった。
この1勝で小久保ホークスは生き返った。5月1日までは、9勝16敗(2分け)で借金「7」。一転5月2日からは42勝18敗(2分け)で貯金「24」を数える。勝率は5月1日までが3割8分5厘で、5月2日からは7割ジャスト。まさにV字回復で前半戦は首位の日本ハムと2ゲーム差の2位で終えた。
同時に川瀬のバットも生き返った。5月は打率3割4分6厘をマークし、7月には5打数連続安打も記録。9犠打は海野に次ぐチーム2位の数字だ。自己犠牲を払いながら勝利にも貢献し続ける活躍。「そういうところで貢献していきたい選手なので」。サラリと話す川瀬が頼もしい。
前半戦は59試合に出場し、打率2割7分5厘、出塁率3割3分9厘。「出塁率は3割5分以上はいきたい」。さらに今季は1試合出場につき1万円を保護犬・保護猫の支援活動を行う「RTP(レッドトレインプロジェクト)」へ寄付することも公表している。「100試合が目標です。モチベーションとして頑張りたい」。リーグ連覇へのピースとして、後半戦も輝き続ける。【只松憲】
○…「記憶に残る一戦」の2位は14票で高卒2年目左腕、前田悠のプロ初勝利の試合があがった。未来のエース候補が6回無失点の好投を見せ、三重殺でピンチをしのぐという珍しい場面が印象的だった。3位は11票で6月6日のオスナのセーブ失敗。先発モイネロが1試合18奪三振の球団記録を樹立したが、2-0の9回にオスナがヤクルトのオスナに同点2ランを浴びた。他にも嶺井の1試合7打点、近藤が満塁本塁打で通算100号を飾った試合などが選ばれた。