＜全国高校野球選手権秋田大会：金足農9－0秋田西＞◇18日◇準々決勝◇こまちスタジアム
「カナノウ旋風」の系譜は吉田だけじゃない。金足農が秋田西に快勝し、4強進出を果たした。2試合連続で先発したオリックス吉田輝星の弟、大輝投手（3年）に代わり先発のマウンドに上がったのは斎藤遼夢投手（2年）。「勝つことだけを意識して」と変化球を中心に直球を生かす投球で5回2安打無失点にまとめ「大輝さんにいい流れでつなぐことが出来た」と胸を張った。
斎藤も18年の甲子園準優勝メンバーの斎藤璃久氏を兄に持つ。準々決勝の近江戦の9回裏。1点を追う土壇場で逆転のサヨナラ2ランスクイズを決めてヒーローになる兄をアルプススタンドから見守っていた。この日、4回1死満塁の好機でスクイズのサインを送られた斎藤の脳裏には、あの夏のシーンがよみがえった。
「兄さんが兄さんなんで…ミスできないという変なプレッシャーがかかりました（笑い）」
こわばる斎藤にチームメートが「緊張しすぎだ」と駆け寄るシーンもあったが、打球は三塁線へ。「バッティングよりバントの練習をしてきたので結果になって良かったです」。兄譲りの勝負強さでしっかり追加点につなげた。
2日前に先発を告げられた際は、兄から「緊張すると思うけど、ひとつひとつアウトを丁寧に取れ」と背中を押されていた。この日スタンドで声援を送った兄にも投打で活躍する姿をみせた。
次戦は春に3回2／3を投げ9安打5失点と打ち込まれたノースアジア大明桜が相手。「負けてからフォームから体作りから全部1から鍛え直してきました」とリベンジに燃えている。あと2勝、自身も兄も越えるため、背番号「10」も力いっぱい腕を振る。【高橋香奈】
◆金足農の2ランスクイズ 18年夏の甲子園準々決勝の近江戦。1－2で迎えた9回裏無死満塁、斎藤がカウント1－1からの3球目をスクイズ。三塁手が処理し一塁に送球する間に、三塁走者に続き二塁走者も生還。鮮やかな2ランスクイズでサヨナラ勝ちを決めた。吉田は10奪三振で2失点完投した。
