
ジョージア州アトランタで開催されたMLBオールスターでは、異例の交流も見られた。球宴前日の14日(日本時間15日)、メディア取材を受ける各選手のブースでドジャース山本由伸投手(26)が、日本人の“臨時学生ジャーナリスト”から直撃質問を受けた。
まずは東京都出身の大須賀陽斗くん(14)が、「キム・ヘソン選手とよくベンチで話していると思いますが、英語で話していますか? どんなことを話していますか?」と質問。山本は「僕が韓国料理をすごく好きなので、そういうのを教えてもらったり、やっぱり野球の違いが韓国と日本と、メジャーリーグでまた少しずつ違いがあるので、そういった話だったり。本当にたわいもない話」と、丁寧に答えた。
続いて奈良県出身の大井祐奈さん(13)が「山本選手にとって、いいチームとは」と質問。「難しいな」と苦笑いしながら、山本は「強いとか弱いとかも、もちろん大切ですけど、本当にチームワークの大切さはドジャースに入って、より学んだと思います。やっぱり誰かが調子悪くても、そういう時にみんなで背中を押すような、そういったチーム」と、自身の経験を交えて意見を述べた。
球宴前日は大勢のメディアが集結し、両リーグの各選手に取材する場が設けられる。国際交流や文化の相互理解を深めることを目的として、MLB選手会(MLBA)が「プレーヤー・エクスチェンジ」というプログラムの一環で、日本人の中学生2人を派遣した。
日本人選手以外ではドジャースのウィル・スミス捕手(30)やロイヤルズのボビー・ウィット内野手(25)に英語で質問。さらにドジャースのデーブ・ロバーツ監督(53)とはフィールド上で肩を組んで記念撮影を行った。陽斗くんは「今までにない体験で、なんとか将来に生かしていきたい」と声を弾ませた。
祐奈さんは、キャビン・アテンダント(客室乗務員)になることを夢に持つ。今回の経験について「TVで見たことしかなかった人と直接話せて本当に夢のようで、一生忘れないような思い出です。これからも英語をしっかり勉強して、将来つないでいけるようにしていきたい」。また、最も好きな選手には大谷翔平投手(31)を挙げ「人間性というか、全部ですね。二刀流とか、何に対しても全力で頑張っている姿が、とても憧れです」と目を輝かせた。取材する機会はなかったが、MLB選手会の試みで実現したオールスター現地での体験。その触れあいが、何よりの財産となったに違いない。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)