
<真夏のライラック:広尾・古荘敦士投手(3年)>
<高校野球東東京大会:修徳11-5広尾>◇17日◇4回戦◇神宮
最速145キロ右腕の広尾・古荘投手の熱い夏が幕を閉じた。4回戦で修徳に敗戦も「自分の中ではまだ全然燃え尽きていない」。プロの視線も集めたエースの目には闘志が宿っていた。
3回戦で147球の力投。ケアを十分に施し、中2日で再び先発のマウンドに。この日も173球を投じたが「きれいに投げられる球がほとんどなくて」と制球に苦しんだ。
体験練習で、右翼60メートル、左翼40メートルの限られた環境で、工夫しながら練習する先輩たちの姿にほれ、入学を決めた。敗戦後も「高校野球は先輩たちがすごい助けてくれた」と涙ながらに語った。最上級生になり、迎えた最後の夏。「自分も先輩のように教えられているのかな」と不安になることもあったが、背番号1はその背中で、チームをけん引し続けた。
9回無死で迎えた最終打席では「僕が取られて、開いた点差」と渾身(こんしん)のフルスイング。空振り三振に倒れたが「チームのために」。その思いが伝わるスイングだった。
「この負けで、自分の野球人生が終わることは絶対にない」。その向上心で、プロへの道を突き進む。【山本佳央】