
<高校野球広島大会:広島商4-2英数学館>◇17日◇3回戦◇ぶんちゃんしまなみ
プロ注目の英数学館(広島)藤本勇太投手(3年)が、3回戦で姿を消した。初戦で呉に完封勝ちし、2戦連続先発も8回4失点で敗退。NPBスカウトのスピードガンで、公式戦自己最速を1キロ更新する148キロをマーク。「やりきった」と晴れやかな笑顔を見せて球場をあとにした。
「最後は(24年11月神宮大会で準優勝の)広商に負けたらしょうがない」。ワクワクした気持ちで挑んだ大一番。初回は自身の暴投で1死三塁のピンチを招き、右前適時打で先制を喫した。5回表に味方の援護で同点とし、その裏に決勝点を献上。8回には、スクイズで失点した。
春夏通じて甲子園出場はないが、今春県大会を初制覇し、中国大会に初出場。藤本は県大会で5試合連続完投。決勝では全国屈指の強豪広陵を9回1失点に封じて全国に名を響かせた。「伝統が浅いチームで活躍すれば(プロに)いけるというのはずっと思っていた」。本気でプロ入りの夢を描いた藤本は、食トレやウエート、さらにメンタルトレーニングも取り入れる勉強家。入学時から体重は10キロ増量し、球速は21キロアップの最速149キロ(6月の練習試合で計測)までアップした。
「人生が大きく変わる。ここで頑張りたかった」。11球団、幹部クラスを含む約40人のスカウトが現地に集結。巨人は9人、阪神は4人体制で視察した。試合後はプロ志望届提出を明言した。指名を受ければ、同校初のプロ野球選手が誕生する。「球界を代表する選手になりたいですが、地道な努力や、プロ初勝利を積み重ねて、いい投手になりたい」。涙はなく爽やかなプロ志望宣言だった。【中島麗】
◆藤本勇太(ふじもと・ゆうた)2007年(平19)8月28日生まれ、広島県庄原市出身。小学校時代に東城ファイターズで野球を始め、東城中では軟式野球部に所属。英数学館(広島)では1年春からメンバー入り。身長178センチ、体重80キロ。右投げ右打ち。目標とする選手は、篠木健太郎(DeNA)。好きなアニメはONE PIECE。