
<真夏のライラック:五條・馬石迅内野手(3年)>
<高校野球奈良大会:奈良8-6五條>◇14日◇2回戦◇さとやくスタジアム(県立橿原)
五條の主将を務める馬石迅内野手(3年)の目から涙があふれた。グラウンド内では我慢していたが、球場を出ると涙を流してその場で崩れ落ちた。
初回から点を取り合ったものの、1歩及ばず、奈良に6-8で敗れた。9回表の五條最後の攻撃で3アウトが宣告された瞬間に「もうこのメンバーで野球をすることはない」。それだけが頭をよぎった。
「1年とか2年のころはあまり深く考えずにプレーしていた。でもいざこうして終わりが来るともっと野球がしたかった」
昨秋、上級生の引退後は主将をすぐには決めず、3年生全員でキャプテンを回していた。そんな中、声掛けと持ち前の明るさでチームを引っ張っていきたいと自らキャプテンに立候補した。今回の試合でもベンチでは「諦めるな! まだ終わってへんやろ!」とチームを鼓舞し続けた。
馬石はこの野球部の3年間を「負けたけど、今までで1番いい試合だった。やり切った。キャプテンとしても選手としても後悔はない」と振り返った。最後はすがすがしい表情だった。【溝淵千夏】