
<阪神2-1ヤクルト>◇13日◇甲子園
話題の飛行機か? いや、ウル虎バックホームだ! 阪神森下翔太外野手(24)がスーパー返球で劇的に試合を終わらせた。9回、岩崎が1点差に迫られなお1死二、三塁の絶体絶命ピンチ。増田の飛球が右翼線寄りに上がった。三塁走者は俊足の武岡。誰もが同点を覚悟した。
捕球した森下は落ち着いて右腕を一閃(いっせん)。放たれた送球は白いスモークを吐くように? 寸分違わず直線軌道に乗り、ワンバウンドで坂本のミットに収まった。まさに間一髪で武岡の指先に先んじてタッチアウトとなった。
「指にボールがかんだ感触があったし、送球のラインもすごく合っていたので、リクエストがあっても、アウトと確信していました。焦ってもいい球はいかないし、ゆっくり投げたらアウトにならない。いい送球ができたと思う」。リプレー映像で見てもまさに数ミリの勝負。審判のこぶしが改めて握られると、また全員で喜びを爆発させた。
難易度が高かった。「浜風が少し弱まっていたので、若干、差し込まれてしまった」。思った以上に打球が伸びた。もっと後ろから勢いをつけて投げたかったが、それでも強く投げられる体勢を作ったのはさすが。1点もやれない場面だけに、邪飛なら見送りの指示が出ていた。ライン寄りの打球でも自信を持ってフェアと判断した。毎日練習を怠らず、気まぐれな風が吹く「甲子園の右翼」を知る男だからできた、会心のプレー。「こうして1点を守れれば価値がある。これからも守備で、走塁で、もちろん打撃でも貢献したい」と胸を張った。
藤川監督は「簡単にはいかないような気がしていたゲーム。本当にウル虎の夏、みたいな形になりましたね」と絶賛。7月の甲子園に走った一瞬のイエロー・インパルス(衝撃)だった。【柏原誠】
○…航空自衛隊のアクロバットチーム「ブルーインパルス」が甲子園にも現れた。前日12日に続き午後3時ごろ、大阪・関西万博でブルーインパルスが展示飛行を実施。甲子園のバックスクリーン後方の空に、きれいな五輪が描かれる様子が見られた。ちょうど阪神が試合前練習を行っている時間で、藤川監督をはじめ気づいたコーチやナインも一瞬目を奪われていた。