
<明治安田J2:鳥栖2-1大分>◇第23節◇12日◇駅スタ
1年でJ1復帰を狙うサガン鳥栖が、今季初の3連勝を飾り、今季最高の4位まで浮上。今季最多1万5549人を動員し、今夏最高の夜となった。
通算11勝6分け6敗の勝ち点39まで伸ばし、自動昇格圏の2位千葉とは勝ち点2差。開幕3連敗など序盤は一時、19位まで沈んだチームだが、小菊昭雄監督(50)の手腕でぐんぐん成長している。
大分との九州ダービーを1点差で制した指揮官は「どの試合も勝ち点3を奪うのは容易ではないが、チーム全員でサポーターの思いを背負い、3連勝できたことは非常にうれしい」と表情を崩した。七夕に50歳の誕生日を迎え、最高のスタートにもなった。
指揮官の采配が、多く的中した試合だった。1-1の同点で迎えた後半12分、本来はユース所属ながら2種登録されている高校3年のFW新川志音(しんかわ・しおん、17)を途中投入。わずか2分後、MF新井晴樹(27)の左クロスを、ヘッドで勝ち越しゴールとした。
8月6日に18歳を迎える新川は「めちゃくちゃ、うれしい。(新井からの好クロスに)ヘディングで合わせるだけだった。まじで最高です」。今季は定期的に起用され、決定機をものにできない試合もあったが、19試合目で待望のJ2初得点だ。
昨季まで指揮したC大阪ではFW北野颯太(現ザルツブルク)ら若手を成長させてきた小菊監督は、鳥栖では新川だけでなく、FW鈴木大馳(18)や、MF堺屋佳介(20)といった下部組織出身の若手を鍛え続けている。
ヒーローになった新川について、指揮官は「あれだけチャンスをつくることができていたので、(ゴールは)時間の問題だと思っていた。素晴らしいゴールを決めてくれ、ここから吹っ切れると思う」と、クラブの看板になるエース候補の台頭を喜んだ。
試合中には1トップから2トップに変更し、大分に押されていた試合のペースを握り返した。戦術的な采配もズバリ当たった小菊監督は、16日の天皇杯3回戦東京V戦、8月2日のリーグ札幌戦に向けて「精いっぱい準備したい」と、一戦必勝の精神を強調した。
主力を他クラブから引き抜かれ続け、けが人も続出していた鳥栖だが、就任1年目の小菊監督を中心に確実に強くなっている。