
<広島-阪神>◇10日◇マツダスタジアム
阪神の10連勝の陰にはいくつもの好走塁があった。第1戦、第2戦は阪神の機動力が威力を発揮した。第3戦も広島バッテリーに「足」を意識させることになりそうだ。
9日の第2戦。1-1と追いつかれた直後の3回1死満塁。佐藤輝明内野手(26)の併殺崩れの間に1点が入り、これが決勝点となった。完全に打たされた二塁正面への打球だったが、打った瞬間から全速力で走っていた。「大きかったですね」と本人も納得のシーン。前の打席では思い切り引っ張った痛烈な右越え弾を放っている。広島の二塁手・菊池涼介(35)は、通常の併殺狙いよりは深く守っていた。佐藤輝もその守備位置を頭に入れていた。
隠れた好走塁は、このときの一塁走者の森下翔太外野手(24)だ。二塁は余裕のアウトではあったが、最後まで走路を外さず、遊撃手の小園海斗(25)の視界に入った。ぎりぎりで頭を下げて送球をよけ、楽に投げさせることはしなかった。効果のほどはともかく、「併殺崩し」の強い意識は2人が共有していた。
警戒されながらスタートを切った近本光司外野手(30)と、一、三塁からの中野拓夢内野手(29)の二盗も効果的だった。全員が連動するように奪った珠玉の1点だった。
10連勝の期間は、ちょうど梅雨明けと猛暑到来に重なったが、阪神の選手は集中力を失わず、誰1人として全力疾走を怠っていない。微差が大差となり、結果に表れ始めた。